関西電力、九州電力の原発で火災防護対象のケーブルが認可された設計に従って施工されていなかった問題で、日本共産党の笠井亮議員は8日、衆院原子力問題調査特別委員会で、「規制基準への適合が判断できない原発は直ちに停止すべきだ」と、原子力規制委員会の山中伸介委員長に迫りました。
2021年に関電美浜原発3号機(福井県)の火災防護対象ケーブルが、火災で共倒れを防ぐため二つの系統を分離する設計で認可されていましたが、実際には分離されていなかったことが発覚。他の関電の原発と九電の原発でも、同様にケーブルの分離がなされていないことが判明しました。関電と九電の原発で対策が必要なケーブルの総延長は約12キロ。工事完了までに相当の期間を要するとして、その間、ケーブルの周囲に可燃物を配置しないなどの処置を施すとしています。規制委は、それらの措置を前提に運転停止を求めていません。
規制委事務局の原子力規制庁の報告では四国電力伊方原発3号機(愛媛県)では同様のケーブルはないとしています。笠井氏は「系統分離が必要なケーブルの全てを規制委が検査で確認していないではないか」と質問。規制委の山中伸介委員長は、「重要性に鑑みて検査官は抜き取り検査をしている」と、全てではないことを認めました。
笠井氏は、火災防護の審査基準では系統分離を全てやっていなければならないとして、「規制基準への適合が判断できなければ直ちに原子炉の停止を命ずるべきだ。これが福島原発事故の教訓だ」と強く求めました。
【「しんぶん赤旗」2023年6月9日付】