政府が、東京電力福島第1原発から出る放射能汚染水を処理した後の高濃度のトリチウム(3重水素)などを含む汚染水を薄めて海洋放出する方針を近く決定する方向で調整している問題で、日本共産党福島県委員会と、福島県労連や民主団体が参加する「ふくしま復興共同センター」は20日、汚染水の海洋放出に反対する緊急の申し入れを経済産業相宛てに行いました。
日本共産党の笠井亮、高橋千鶴子、藤野保史各衆院議員と、紙智子、岩渕友両参院議員が同席しました。
申し入れでは、第1原発敷地内のタンクに保管されている汚染水の海洋放出を絶対に行わないこと、当面陸上保管を継続できる対応をとるよう求めた要望書を提出しました。
宮本しづえ県議は、国が行った県民などへの意見聴取で圧倒的多数は放出しないでほしいというものだったとし、「国はどう受け止め、反映させようとしているのか全く見えない」と批判。大橋沙織県議は「漁業者のこの10年間の苦しみや復興に向けた一歩一歩をどう受け止めているのか」と述べました。
同センターの佐々木健洋事務局次長は、数十年置くことでトリチウムは減っていくと指摘し、「(海洋放出を)今、決断すべきでない」と強調。同センターの久保田亮氏は「民意を無視したやり方だ」と話しました。
対応した経産省の新川達也・原子力事故災害対処審議官は、「スケジュールは決まっていない」としつつ、早期に結論を出したいと述べるにとどまりました。
笠井氏は、「国と東電の事故への反省と責任が根本的に問われている。(放出決定を)強行するのは許されない」と厳しく指摘しました。
【「しんぶん赤旗」2020年10月21日付】