党利党略を批判、円高体質 悪循環改めよ
日本共産党の笠井亮政策委員長代理は7日放送のNHK番組「日曜討論」に出席し、円高・財政問題などについて与野党政策責任者と議論しました。このなかで赤字国債発行のための特例公債法案について「これが通ったら(菅直人首相が)辞めるか辞めないかというのではなく、中身のある議論をしっかりやる必要がある」と述べ、国民不在、被災者そっちのけの党利党略を厳しく批判しました。
民主、自民、公明各党は「子ども手当」の財源削減で所得制限を設けたことをそろって評価。その上で特例公債法案について「今国会で通さないとリスクを負う」(五十嵐文彦財務副大臣)、「公務員給与削減などをするなら(法案に)賛成する」(自民・鴨下一郎政調会長代理)などと応酬しました。
笠井氏は、子ども手当は年少扶養控除廃止という増税とセットで創設されたことをあげ、「増税を残したままでは(年収)450万円から770万円の中堅世帯では差し引き負担増という世帯が出てくる」と指摘。「バラマキといったら(自民党などからは)なぜ子ども手当や高校無償化が出てくるのか。バラマキというならば、大企業や大金持ちの減税で2兆円を行っている。こういうバラマキには一切手をつけないでいいのかが問われている」として、国民の暮らしと生業を立て直し元気にすることこそ政治の責任だと強調しました。
東日本大震災の復興財源で五十嵐財務副大臣は復興債償還の増税をあげました。
これに対し笠井氏は「庶民増税ありきでは絶対にダメだ」と批判。2兆円の法人税減税・証券優遇税制、米軍への「思いやり予算」、原発推進の4000億円、政党助成金320億円など歳出にメスを入れるとともに、巨額の内部留保を抱える大企業などに「震災復興国債」を引き受けるよう要請すべきだと提案しました。
この日の討論では、円高問題も議論になりました。
五十嵐文彦財務副大臣は、政府・日銀が行った円売り・ドル買いの為替介入で、さらなる介入の可能性を示唆。自民党の鴨下一郎政調会長代理も日銀の介入は「それなりに意味があった」が、効果は「一時的なものだった」と述べました。
これに対し日本共産党の笠井亮政策委員長代理は、「大本に手をつけず、その場しのぎの従来型の介入というやり方は小手先であり、いいかげんやめた方がいい」と指摘。円高の背景には「日本政府が金融自由化を進めるばかりで、投機マネーそのものを規制する手立てを打ってこなかった問題がある」と述べ、為替投機規制の必要性をあげました。
さらに、ごく少数の輸出大企業が労働者と中小企業の犠牲のうえに果てしないコスト削減を進めて「国際競争力」を強め、それが新たな円高をよぶという「円高体質の悪循環」がつくりだされてきたことを告発。国民の暮らしを応援し、内需拡大に方向を切り替える必要があると述べました。