日本共産党の笠井亮議員は、衆院経済産業・環境の両委員会の連合審査会(3日)で、二酸化炭素貯留(CCS)事業法案の環境への影響についてただしました。
笠井氏は二酸化炭素(CO2)を海底下に貯蔵する事業者に課されたモニタリング義務について質問。伊藤信太郎環境相は「(現行の海洋汚染等防止法では)事実上無期限」だと認めました。
ところが法案ではモニタリング義務を事業者から独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)に移管できるとしています。斎藤健経済産業相は「半永久的な管理を民間事業者に求める場合、民間事業者による貯留事業への参入意欲が阻害され」るなどと正当化しました。
環境影響評価法は「環境影響の程度が著しいものと『おそれ』」がある事業に環境影響評価(環境アセスメント)の実施を求めていますが、CCS事業について環境省は「環境影響の程度が著しいものであるか知見が十分でない」として、現時点で対象としていません。
笠井氏は「おそれがあれば(アセスを)行わなければならないのに、知見が十分でないから必要性が判断できないとはどういう意味か」と追及。伊藤環境相は「おそれがあるかどうかも知見が十分でない」と無責任な答弁に終始しました。
水素利用法案も「事業者任せだ」
また笠井議員は、衆院経済産業委員会(3日)で、水素等供給利用促進法案は安全を事業者任せにするものだと批判しました。法案は、現行の高圧ガス保安法で都道府県が行っている製造の許可・検査を、水素等については国が行うことで事業の迅速化を図ろうというもの。また高度保安実施者として認定された事業者による保安検査は自主検査とし、定期自主検査結果の都道府県への提出も不要にします。
笠井氏は「技術基準への適合が担保されない。どうやって労働者の命や地域住民の安全を守れるのか」と迫りました。
武豊火力発電所(愛知県)で火災を起こした事業者のJERAは、斎藤健経済産業相から地元に丁寧に説明するよう指導を受けた後も、地元住民や共産党議員の要請書の受け取りさえ拒否しています。笠井氏はJERAが地元住民や武豊町議会への説明も行っていない事実を示し「あってはならないことだ」と追及。斎藤経産相は「一般論としてはそうだ」と認めました。
笠井氏は、高圧ガス保安協会の会長が2021年に「この10年間に3割弱が法令違反行為を行っている」と証言し「規律を事業者任せにする制度は絵に描いた餅だ」と発言していることを指摘し、「事業者の自主性任せは非常に危険だ」と警告しました。
【「しんぶん赤旗」2024年4月11日付】