日本共産党の笠井亮議員は27日、衆院経済産業委員会で、水素社会推進法案に関連して経産省の高温ガス炉実証炉開発計画の撤回を求めました。
高温ガス炉は、ウランを燃料としヘリウムガスを冷却材に使う原子炉。経産省は、2024度予算で高温ガス炉実証炉開発に274億円、3年間の国庫債務負担を含めると866億円の予算を組んでいます。
経産省のワーキンググループがまとめたロードマップでは、800度を超える高温ガスを利用して、二酸化炭素(CO2)を排出しない水素製造を目的にかかげ高温ガス炉実証炉を新設。30年代後半から運転を開始するスケジュールが示されています。三菱重工業と基本設計、製造・建設の契約がすでにされています。
笠井氏が運転開始までの総事業費と運転開始後の事業費を質問したのに対して、斎藤健経産相は、いずれも現時点で「見通しを示すことは難しい」と回答。建設地についても決まっていないと答弁しました。
さらに笠井氏は、高温ガス炉の使用済み核燃料の処分方法すら決まっていないことについて、「めどもなく新たに生み出し続ける。これほど無責任なことはない」と厳しく批判。斎藤経産相は「今後、検討していくべきもの」などと無責任な説明に終始しました。
笠井氏は「実用化のめどもない新技術を前提にすればCO2削減を先送りにするだけだ」と指摘し、「(気候変動対策で)30年までに緊急にCO2の大幅削減が求められている。まず今ある省エネ・再エネにこそ、資源や予算を厚く配分すべきだ」と強調しました。
【「しんぶん赤旗」2024年3月29日付】