衆院経済産業委員会は14日、原発の60年超の運転を可能にするなど原発回帰に大転換する原発推進等5法案(GX電源法案)に関する参考人質疑を行いました。同法案は、原子力基本法など五つの法律の改定案を束ねたもの。
国際環境非政府組織(NGO)「FoE Japan」の満田夏花(かんな)事務局長は、同法案によって、原発の運転期間の認可権限を原子力規制委員会から原発推進の経済産業省に移すことで、「認可基準が『安全性』から『電力の安定供給』になる」と述べ、原発利活用ありきの規制緩和だと指摘。「東京電力福島第1原発事故の教訓をないがしろにするもので、将来に大きな禍根を残す」と批判しました。
大島堅一龍谷大教授は、原発は温暖化対策にほぼ効果がなく、再生可能エネルギー普及の障害にもなっており、法案には原発事故についての国と事業者の責任が書かれておらず、「安全神話の再来だ」と批判しました。
日本共産党の笠井亮議員は原子力基本法改定案第2条2項で原子力利用の「国の責務」を新設することで、「未来永劫(えいごう)原発を活用する法的枠組みができ、気候危機打開も、エネルギー安定供給も妨げるのではないか」と質問。満田氏は「基本法の性格が変わり、『原子力救済法』になる」と警鐘を鳴らしました。笠井氏から原発60年超の運転期間ルールについて問われた大島氏は「老朽化による事故リスクが高まる方向」だと批判しました。
【「しんぶん赤旗」2023年4月16日付】