岸田文雄政権が原発の運転期間を見直して老朽原発を酷使しようとしている問題で、日本共産党の笠井亮議員は8日、衆院原子力問題調査特別委員会で質問に立ちました。運転停止期間中も施設が劣化する問題点を認識していながら、原発推進側の動きを“黙認”する原子力規制委員会の山中伸介委員長の姿勢について「東京電力福島第1原発事故の反省と教訓を投げ捨てることになる」と批判しました。
笠井氏は、原発の運転期間の制限から停止期間を除外したいとする原子力産業界の要望を、規制委が2020年の段階では「運転開始から40年、時計の針は止めない」(更田豊志前委員長)という立場ではねのけたことを指摘し、判断の根拠を尋ねました。山中氏は、停止中にもコンクリート構造物の劣化が進む問題をあげました。
さらに笠井氏は、田中俊一初代委員長や更田氏が、原発の審査で基準に適合しても決して「安全性を保証するものではない」という立場を貫いたと紹介。ところが現在、経済産業省の担当者だけでなく山中氏自身も「安全審査」という言葉まで使っており、山中氏が経産省による運転期間延長の計画を黙認することは、「規制の虜(とりこ)」(規制側が推進側の論理に取り込まれること)にほかならないと批判しました。
山中氏は「意見を述べないことをもって規制の虜には当たらないと考えている」と黙認を正当化。笠井氏は、「安全神話」に手を貸さないと規制委員会が自ら戒めていた本来の姿勢に立ち戻り、規制機関としての独立性を守り、役割を果たすよう強く求めました。
【「しんぶん赤旗」2022年12月9日付】