77回目の「原爆の日」を迎えた長崎市で9日、市主催の平和式典が開かれ、田上富久市長が「長崎平和宣言」で核保有国に「核軍縮プロセス」を示すこと、日本政府に核兵器禁止条約参加を求めました。原水爆禁止2022年世界大会はナガサキデー集会を開いて閉会。禁止条約を力に核兵器の使用も威嚇も許さず、完全廃絶と条約参加、被爆者援護と被災者救済を求めて草の根の運動と市民社会、諸国政府の共同を発展させようと呼びかけました。
長崎市民会館で開かれた原水爆禁止2022年世界大会のナガサキデー集会(主催=世界大会実行委員会)は、核兵器の使用も威嚇も許さず、すべての国が核兵器禁止条約へ参加するよう求めて草の根から行動を訴える「長崎からのよびかけ」を採択しました。4日に広島からスタートした世界大会は、のべ4000人が参加。4300カ所でオンライン視聴されたと紹介しました。(長崎からのよびかけ)
世界大会起草委員長の冨田宏治さんが主催者報告し、田上富久長崎市長と元経産官僚の古賀茂明さんが連帯あいさつ。玉城デニー沖縄県知事がビデオメッセージを寄せました。
被爆者の溝浦勝さん(81)は、「長崎を最後の被爆地とするため憲法9条を守り絶対に戦争をしない。核兵器禁止条約に参加し廃絶の先頭に立ってほしい」と述べました。
田上市長は、核軍縮と核軍拡の動きが同時に進む情勢にふれ、「だからこそ一日も早い核廃絶のために市民社会が力をあわせ、世論を高めることが重要です」と訴え。古賀氏は「日本は世界に誇るべき平和主義を自ら放棄しつつある。唯一の被爆国として核廃絶の先頭に立つため、禁止条約に署名・批准するべきです」と語りました。
核兵器禁止条約第2回締約国会議で議長国を務めるメキシコのメルバ・プリーア駐日大使があいさつ。「核兵器は現実の迫った脅威となっている」と述べ、「禁止条約に多くの国が署名・批准するよう働きかけていく。日本政府の早期署名に期待します」と語りました。
核不拡散条約(NPT)再検討会議に参加した日本共産党の笠井亮衆院議員が報告。NGOセッションでは原水爆禁止日本協議会の代表として一番手で発言し世界大会開催を紹介したと述べると拍手が起こりました。日本の平和運動が国際社会を動かしていると強調し、「世界の流れをさらに進めるため、日本政府の姿勢を変えよう」と力をこめました。
4歳の娘を連れて、福岡県直方市から参加した女性(26)は、「世界大会に初めて参加しました。戦争も核兵器もない世界を子どもに渡すために行動したい」と話しました。
【「しんぶん赤旗」2022年8月10日付】