●笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
六人の参考人のお話を伺い、障害者の皆さんに対する真の自立支援と社会参加を前進させるという点での抜本的な施策の必要性ということを改めて痛感した。
応益負担が最大の問題点。相澤参考人( )は、精神障害者の家族会の運動に携わってこられたということですが、この点で、家族の皆さんの御苦労、悩みや願いについて、どのように感じていらっしゃるか。
精神障害の差別解消の方向は結構だが・・・
●相澤参考人 確かに精神障害者というのは特別視されている。その差別を法律上なくすあるいは軽減するという方向は、これは結構なこと。その上で、家族が生きている間は死に物狂いでつき合うけれども、死んだ後どうなるんだろう。今のこの日本社会で生きていけるんだろうかと。親が死んだ後でも最低限の所得が確保されること、これがどうしても必要だというふうに皆さん言われる。
もう一つは、働ける者は働かせてほしい、要するに精神障害があるからといって門前払いにしないでほしいと。精神障害者は、長時間働き続ける、訓練を受け続けることが困難な方が多い。しかし、本人及び親御さんたちは、働きたい、働かせたいという熱望が非常に強い。
ただ、精神障害の場合、特に統合失調症などは障害特性からして、本人の思いと実際にできるかどうかという現実とのギャップは結構大きいが、しかし、多少なりとも働ける人には、あるいは働きたいと思っているわけですから、やはり働く場を開拓してほしい。就労のための準備、訓練、あるいは現場での訓練、こういうことが必要だと考えている。
障害者にとっての施設の持つ意味
●笠井議員 この法案では、わずかな工賃を利用料という形で払わなきゃいけないということで、利用者に大きな不安がある。精神支援障害者にとって施設というのはどういう意味があるのか、それに通えなくなるということが障害者にとってどういう意味を持ってくるのかということについて少し詳しく、お聞きしたい。
●相澤参考人 私の息子は精神障害者であり、五年前に急死しましたが、息子は施設に通うことができませんでした。それは、施設に通うことに大変抵抗感が強かった。そういう失敗をしている。精神障害者にとって施設に通うということは、働いて稼ぐということはもちろんありますが、それ以上に大事なことは生活を整えるということです。障害者が引きこもると昼夜逆転してしまう。そのことで生活が乱れ、病状が悪化する。施設に通うということは、病状を安定させ、回復、安定につなぐことをサポートする、そういう役割が非常に大きい。もちろん仲間ができ交流し、生きがいを喜ぶことができるということが大きい。生きる意欲を持つことができるわけで、働いて稼ぐということ以上に大きい。
第三点として、その上で、やはり自分も認められたい。働いて収入を得て、働く能力があるんだということを評価されたいということ。
工賃が余りにも低過ぎると、自分は何て低く見られているんだろう、苦労して通っているのに、とにかく通う費用よりも得られる収入が、ほとんど差がないとか、逆転するということでは、もう元気が出ないということになる。
更生医療への移行で費用負担はどうなるか
●笠井委員 水谷参考人(心臓病の子どもを守る会事務局長)に、育成医療は、大人になっていく中で更生医療に移っていく。その場合、費用負担の面でどのような影響が出てくるのか。
●水谷参考人 特に重度の心疾患を持っている方は、幼いときから何度も手術を繰り返した上で成長する。当然、大人になっても手術の必要がある場合があり、18歳以上では更生医療になる。現在の高額療養費制度では、育成医療の場合は4万2000円を上限として、それを超える分の自己負担ですんでいる。しかし、更生医療では、この緩和策がない。だから、月額の医療費が約80万円を超えると、自立支援医療の負担上限が医療保険の負担上限額を超えてしまい、事実上更生医療は適用されない。育成医療についても、激変緩和措置ということで、この激変緩和措置が過ぎれば適用外ということになる。これでは、心臓手術については事実上この自立支援医療から外されるというふうなことを申し上げた次第だ。
これに、高額療養費の額が上がれば、ますます負担増になる。食費の負担もあるということになり、負担増は激増する。
基盤整備で必要なこと
●笠井委員 最後に浅輪参考人( )に伺いたい。基盤整備について、これは必要だと端的に思われていることはなんでしょうか。
●浅輪参考人 所得保障をすることは難しいと。それじゃ、それにかわるものは何か。働いて得ることが一番いいが、障害の重い人を雇用してくれるところはかなり難しい。作業所に公的な仕事をおろす、公の施設の清掃を任せるなど、それをしっかりやっていただきたい。確かに年金を上げていただければ一番いいですけれども、それは無理だとするならば、では何があるのかということを一緒に考えていただきたいと思っております。