立憲民主党が提出した岸田文雄内閣と、細田博之衆院議長に対する各不信任決議案が9日の衆院本会議で採決され、日本共産党、立憲民主党は賛成しましたが、いずれも否決されました。内閣不信任案で賛成討論に立った日本共産党の笠井亮議員は「平和、くらし・経済などあらゆる問題で、もはやこの内閣には国政を担う資格はない」と主張しました。
笠井氏は、不信任の第1の理由として、ウクライナ危機に乗じ、「力対力」で対抗する大軍拡を進め、平和に逆行する危険な道を突き進もうとしていることを指摘しました。岸田首相が日米首脳会談で「敵基地攻撃能力」保有の検討に言及したことを批判し、「9条改憲は断じて認められない」と強調。「骨太方針」に「5年以内の防衛力の抜本強化」を盛り込んだことをあげ「平和も暮らしも破壊する道を決して進んではいけない」と力説しました。
笠井氏は、不信任の第2の理由として物価高騰に無為無策で、国民の暮らしをかえりみない冷たい政治を進めていると指摘。「新しい資本主義実行計画」には反省もなく「アベノミクス」の「3本の矢」の「堅持」を明記したとして、「新自由主義を終わらせて『やさしく強い経済』に転換し、財界・大企業の目先の利益拡大を最優先する政治を根本的に転換すべきときだ」と主張しました。
決議案は自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党、有志の会などの反対多数で否決されました。れいわ新選組は棄権しました。
議長不信任案 共・立が賛成
細田議長に対する不信任決議案の賛成討論に立った日本共産党の高橋千鶴子議員は、「衆院議長は三権の長として国民から疑念をもたれることはあってはならない」と指摘。女性記者などへのセクハラ疑惑について説明責任を果たしていないとして、「自らかけられた疑惑を晴らすことなしに、その職にとどまることは許されない」と述べました。また、衆院小選挙区定数「10増10減」の法改正を自ら提案しながら、実施段階で反対する無責任をあげ、公立・公正でなければならない議長の資質に欠けると批判。「選挙買収」疑惑まで浮上しており、事実であれば議員の資格もないと批判しました。決議案は自民党、公明党などの反対多数で否決されました。維新、国民、れいわ、有志は棄権しました。
【「しんぶん赤旗」2022年6月10日付】