「COP26後に(石炭火力発電を)9基も新増設し、今後30年以上も動かすことになる。こんなに足を引っ張る先進国はない」―。日本共産党の笠井亮議員は2日の衆院予算委員会で、気候変動対策について、政府が進める石炭火発の新増設と輸出を批判し、廃止を求めました。
時期は明言せず
笠井氏は、昨年末のCOP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)で決定したグラスゴー合意は、石炭火発の2030年までの段階的廃止を求めていると指摘。G7(主要7カ国)の中で、日本を除く全ての国が石炭火発の廃止年限を表明しているとして、「いまだに日本は期限を決めていないのか」とただしました。岸田文雄首相は、「2050年段階でカーボンニュートラルを実現する」と述べるだけで、廃止時期は明言しませんでした。
笠井氏は、1日に神戸製鋼所石炭火力3号機が営業運転を始めたことを厳しく批判し、次のようにただしました。
笠井 脱炭素社会に逆行だ。気候危機との認識あるか。
首相 人類全体にとって重要。危機だ。
笠井 ならばいっそう本気度が問われる。2030年までに何基を廃止する目標を持っているのか。
萩生田光一経済産業相 数では定めていない。
笠井 目標すらないということだ。
笠井氏は、岸田首相が水素やアンモニアの活用で「脱炭素型に置き換える」と言いながら、石炭火力を使い続けていると指摘。アンモニアと石炭の混焼は高コストの上、経産省資料で「アンモニア1トンの製造で1・6トンものCO2を排出する」と記しているとして次のようにただしました。
政府が一体で
笠井 CO2削減を先送りするだけだ。
経産相 日本の技術を信用していただきたい。
笠井 実用化のめどが立っていない。新技術というのなら、再エネにもっと力と金を注ぐことが必要だ。
笠井氏は、経団連や電気事業連合会などが国内の石炭火発の維持・活用とアジアへの輸出を求めており、この動きと政府が一体で石炭火発の新増設・輸出政策を進めていると指摘。輸出のためにも、国内につくるという目先のもうけ本位の政治をただすときだと強調しました。
最後に笠井氏は、省エネと再エネを進める社会システムの大改革を行えば、30年度までにCO2などを最大60%削減でき、年間254万人の雇用と、国内総生産を205兆円増やせるという日本共産党の「2030戦略」を紹介。「力を合わせて気候危機をストップさせたい」と、政治の転換を訴えました。
【「しんぶん赤旗」2022年2月2日付】