井上・笠井議員「救済、後退させるな」
広島市への原爆投下後に降った「黒い雨」被害をめぐり、厚労省が開いた被爆者健康手帳交付の新たな審査基準についての初会合(11月30日)を受け3日、日本共産党の井上哲士参院議員と笠井亮衆院議員は、参院議員会館で厚労省へのヒアリングを行いました。
厚労省は、審査の指針について、広島高裁判決ではなく、閣議決定した首相談話の「内部被爆の健康影響を政府として容認できるものではない」とした部分を基準に、来年度初めからの運用に向けて会合を重ねていると述べました。
井上、笠井両議員は「広島高裁は“放射能による健康被害を否定できなければ被爆者にあたる”と地裁よりもさらに広く認定するよう踏み込んだ判決を下した。これを受け入れ、上告断念したのだから高裁判決に照らして広島だけでも1万3000人ともいわれる“同じような事情”の方々を早急に救済すべきだ」と強く要請しました。
また、新たな審査の指針は、長崎にも適用されるかについて、厚労省は「広島の指針に沿って、長崎も適用される可能性はないとは言えない」との言及にとどまりました。
井上、笠井両議員は「広島出身の岸田首相の下で、救済を後退させてはいけない。被爆76年たち、高齢になる人たちを新たな線引きで区別することはあってはならない」と批判しました。
初会合では、厚労省と広島県・市、長崎県・市との協議が行われていることや、「黒い雨」原告全員の共通点が▽「黒い雨」を浴びたこと▽その場所が自宅や自宅周辺だったこと▽黒い雨を浴びた後も同じ場所で居住し続けた▽健康管理手当の対象となる11種類の疾病を発症している―の4点であることなどが報告されました。
【「しんぶん赤旗」2021年12月4日付】