東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から10年にあたり、日本共産党の志位和夫委員長は26日、福島県の住民や市民団体の代表者とオンラインで懇談し、現状と課題、具体的な支援策などを聞きました。
志位氏は、(1)原発事故そのものの現状(2)避難者の実情(3)賠償問題(4)生業(なりわい)の再建(5)子どもと教育の問題などの実情と課題を問いました。
原発問題住民運動全国連絡センター筆頭代表委員・全国革新懇代表世話人の伊東達也さんは、原発事故に関して「使用済み核燃料や汚染水の増加など七つの重複したリスクがある」と指摘。また、避難者の実際の数が把握されていないとし、国による大規模調査を訴えました。
ふくしま復興共同センター代表委員の斎藤富春さんは、10年間の時間の風化のほか「福島を切り捨て、本質をあいまいにする風化もある」と述べ、「被災者本位の復興になっているかどうかが問われる。復興そのものがゆがんできているのではないか」と語りました。
「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団長の中島孝さんは賠償問題について、国が賠償基準を定めた「中間指針」は不十分だと指摘。「時間の経過とともに困窮の度合いはますます深まっているなか、避難にかかる直接的な費用についての賠償が全く視野から外れている」と強調しました。
日本共産党の馬場績浪江町議は、浪江町で「被災者切り捨てが進む中、暮らしと地域コミュニティーがズタズタに壊された」と語り、生活保護受給世帯が2015年の2世帯から昨年12月では82世帯と41倍に増えたとし「町民の孤立と孤独、貧困が深刻になっている」と訴えました。
日本共産党福島県議団の神山悦子団長は「この10年、台風被害、新型コロナ、13日の福島県沖地震など災害が相次ぎ、疲弊し続けている」と語りました。生業について、福島県沖で取れた魚「クロソイ」から放射性セシウムが1キロ当たり500ベクレル検出され出荷停止になるなど水産業の回復のめどがたたないと指摘。教育に関し、県立高校の統廃合が計画ありきで進められていると告発しました。
発言を受けて志位氏は、「しっかりと受け止めました。お話を聞いて、福島では時間とともに被害が深刻になっている問題があることを、痛感しました。今後も長期にわたって、問題が解決したといえるまで、国が責任をもって支援を継続・強化するよう求めていきます」と応じました。
日本共産党福島県委員会の町田和史委員長が参加。笠井亮衆院議員、岩渕友参院議員が同席しました。
【「しんぶん赤旗」2021年2月27日付】