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≪第204通常国会≫論戦ハイライト◎3次補正・特措法 現場の声を聞け 菅政権の対応を追及(21/01/26予算委)

日本共産党の笠井亮、宮本徹両議員は26日の衆院予算委員会で、第3次補正予算案や新型コロナウイルス対応の特別措置法などについて追及しました。


十分な補償 給付金第2弾を/笠井議員

笠井氏は、コロナ禍で苦しむ事業者の実態を突き付け、自粛と一体の十分な補償、持続化給付金の再支給を求めました。

笠井氏は、営業時間短縮に応じた飲食店への1日6万円の協力金について「夕方5時開店なので夜8時までなら開店休業と同じ」(都内のモツ鍋屋)などの「とても足りない」との声をぶつけ、事業規模や実態に応じた支援を求めました。

取引先への最大40万円の一時金についても、全国のコメや野菜、果物、肉なども需要が激減し、魚介類も出荷できず半値以下だといった実態を示し「コロナ感染拡大の影響はあらゆる業種に及ぶ。飲食店を起点にした取引先に線引きなどできない。売り上げ減の全ての業種への十分な補償こそ必要だ」と強調しました。

第3次補正予算案でコロナ収束が前提の「Gо Tо」事業を継続する一方、持続化給付金・家賃支援給付金など事業者への直接支援が打ち切られようとしています。

笠井氏は、東京の印刷業者が、200万円の持続化給付金を受けたが消費税額209万円を納めて消えたとの実態を紹介。東京商工リサーチの調査で、昨年の全国での休廃業・解散が前年比14・6%増の4万9698件と調査開始以降、過去最多となったことを示し「中小企業は崖っぷちという認識があるか」とただしました。

菅義偉首相 コロナの影響が長引き過去最多となった。経営者の高齢化や後継者不足といった構造的な要因もある。

笠井 本当にあえいでいるなか事業転換どころではない。まず、今をつなぐことだ。

笠井氏は、緊急に支えるべきは「一人も路頭に迷わせない」と必死に頑張る事業者だと述べ「延長すべきは『Gо Tо』ではなく給付金だ。補正予算を組み替え、給付金の第2弾こそ実施すべきだ」と主張しました。

さらに笠井氏は、持続化給付金が届かない問題をただしました。

笠井 申請しながら何カ月も待たされ、1回も給付されない事業者が29万あまりもいる。ご存じか。

首相 承知していない。

深刻な実態を把握していない菅首相。笠井氏は「書類不備ではねつけられている」との相談が連日寄せられているとし「申請期限延長でも救われない。放置していいのか」と追及しました。

梶山弘志経済産業相は「柔軟に対応してきた」としつつ、公的機関発行でない書類は不備となると答弁。笠井氏は「機械的・画一的な審査を改めなければ給付金は届きようがない。何カ月も待っている人がどんなに苦しいか」と迫りました。

笠井 大臣の決断で解決して必要な方に届けるべきだ。

経産相 一定の線を引かなければならない。

事業者を切り捨て、冷酷さをあらわにする菅政権。笠井氏は「一つひとつ実態を見なければ救われない事業者がいる」と指摘。「給付金を届けきらずに打ち切りながら、特措法改定で罰則を科し、『つぶれるか罰則か』の二者択一を迫る血も涙もないことは断じて許されない」と強調しました。

保健所も懸念 罰則撤回せよ/宮本議員

宮本氏は、政府が感染症法改定案に、入院を拒否した感染者や、保健所調査への協力拒否、虚偽回答をした人への罰則規定を盛り込んだことについて追及。現場の保健所などから直接聞いた罰則への三つの懸念を突き付け、撤回を求めました。

一つは、保健所が感染者の感染経路や濃厚接触者を聞き取りする積極的疫学調査が阻害されることです。

宮本氏は、調査を拒否すると罰金刑になりうるため、「初めから警戒され、『覚えていません』『忘れました』と何もしゃべってもらえなくなるのではないか」との保健所長らの声を紹介しました。

宮本 現場から懸念を聞いていないのか。

田村憲久厚生労働相 正直なことを話してもらえず、濃厚接触者が分からない。それによって感染が拡大してしまう恐れがあるということで(罰則を求める声が)上がっている。

宮本 罰則を付ければ正直に話してもらえると保健所の現場の人は言ってない。その声を聞くべきだ。

二つ目は、罰則を恐れるあまり検査結果を隠し、検査を受けなくなり感染拡大防止の対策を阻害する懸念です。

宮本氏は、新型コロナ対策分科会のメンバーで内閣官房参与の岡部信彦氏が「(罰則規定で)感染が潜行してしまうことが危惧される。検査、疫学調査は『捜査』とは相いれないもので、患者やその周辺の人々の利益になるようにしないといけない」と語ったことを示しました。

宮本氏が岡部氏に意見を直接聞いたのかとただしたのに対し、菅首相は「直接ではないが岡部先生の考え方は伺っている」と回答。宮本氏は、失敗を繰り返さないため専門家に直接、聞くべきだと迫りました。

三つ目は、保健所の職員が罰則の対応で警察への情報提供などをしなければならず、防疫業務が滞る懸念です。

宮本氏は「過労死ラインを超えても業務が追いつかない保健所の現場に、こんな負担を強いるべきではない。悲鳴の声を聞くべきだ」と主張。菅首相が「いろんな意見があることは(間接的に)聞いている」と答えたのに対し、宮本氏は「自ら罰則を決めながら、直接聞こうともしないのか」と批判しました。

その上で宮本氏は、感染症対策で過ちを犯した歴史があるとして、国がハンセン病患者を強制隔離し、著しい人権侵害を行って社会に差別と偏見を広げたことに言及。1998年に成立した感染症法は、前文をもうけて歴史と人権尊重を書きこんでいると述べました。

宮本 その反省のもと人権制限は必要最小限とし、国民の協力と良質な医療の提供で、感染症のまん延を防止しようと方向転換し、生まれたのが感染症法だ。総理はご存じか。

首相 承知している。

宮本氏は「承知しながら、なぜ罰則をもうけるのか。患者を犯罪者予備軍扱いにし、患者への差別と偏見を助長することにつながるとの危惧がたくさん上がっている」と批判。感染拡大防止に実効性を持たせる上で補償が必要だとして、個人事業主、フリーランスらへの所得保障制度を求めました。

【「しんぶん赤旗」2021年1月27日付】

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