日本共産党の笠井亮議員は4日の衆院予算委員会で基本的質疑に立ち、新型肺炎対策、最低賃金の大幅引き上げ、権利ゼロの働かせ方ではなく「8時間働けば普通にくらせる社会」の実現を求めて、政府の姿勢をただしました。(論戦ハイライト)
笠井氏は、安倍政権が狙うフリーランスなど「雇用によらない働き方」の拡大について実態を示して追及しました。配達代行のウーバーイーツでは、交通事故にあっても補償がないと告発。同社から指揮命令を受けながら、「労働者」ではなく「個人事業主」として扱われ、労災保険がなく最低賃金も適用されないうえ一方的な減額もあったと告発し、「これで健全といえるのか」とただしました。西村康稔経済再生相は「健全に発展していくように検討する」としか答えず、笠井氏は「健全ではないとはいえない。恐ろしい感覚だ」と批判するとともに、労働者が労働組合を結成して団体交渉を求めても、同社が拒否していると告発しました。
安倍首相は、これらの実態を踏まえ「こういう形が広がっていくことは決していいことだとは思っていない」と答えました。
笠井氏は、フランスではウーバーのような企業に対して社会的責任を義務づける法律が制定されたとして、「権利ゼロの働き方をなくすのは政治の責任だ」と訴えました。
最低賃金の大幅引き上げと全国一律制の確立について、「先進国」で賃金が下がっている国は日本だけだと指摘。全労連の最低生計費調査を紹介し、地域間格差は最賃の最高額と最低額では時給223円、年収約45万円の差に対して、生計費では1600円でほとんど地域差がないとして、「人間らしい生活とはかけ離れた低水準だ」と追及しました。安倍首相は「生活保護を下回らない水準とするよう配慮している」などと答弁するだけでした。
笠井氏は、人事院の1人世帯の「標準生計費」を示すよう要求。加藤勝信厚労相は、4人世帯ベースの標準生計費は答えながら、1人世帯については質問の最後まで答えず、実態を隠す姿勢に終始しました。笠井氏は、人事院の標準生計費は1人世帯で月12万円、1日の食費は866円だとして、「これで食べられる水準なのか」と批判しました。
笠井氏は、全国知事会などから全国一律制の導入が要望されているとして、社会保険料の中小企業の事業主負担軽減で、賃上げを直接支援すべきだと強調しました。
【「しんぶん赤旗」2020年2月5日付】