日本共産党政策委員長 笠井亮さんに聞く
9条・沖縄・原発・消費税… みんな一致
5野党・会派の党首が29日、党首会談で1人区30選挙区での候補一本化を合意するとともに、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)と13項目の「共通政策」に調印しました。政策担当者として協議を行ってきた日本共産党の笠井亮政策委員長に、政策の内容と協議のプロセスについて聞きました。
29日の党首会談直後に行われた「共通政策」の調印式は、「いよいよたたかいが始まる」という緊張感に包まれていました。調印直後、政策合意に向けともにがんばった市民連合の方が「歴史の変化を感じる」と感慨深げに語りかけてきました。私も共感し、かたく握手を交わしました。
立憲主義回復が「一丁目一番地」
「共通政策」は「安倍政治を終わらせる」ということにとどまらず、その先の新しい選択肢を示すという共闘の質的な発展が、「だれもが自分らしく暮らせる明日へ」というタイトルに凝縮されています。野党の担当者同士で「一歩一歩がんばろう」と言葉を交わしながら、気持ちよく議論し、力を合わせてまとめることができました。
13項目で合意された共通政策は、2016年の参院選より内容と政策作成過程において踏み込んで、みんなで合意できたものです。
内容では、安保法制や共謀罪などの、安倍政権が成立させた立憲主義に反する諸法律を廃止することが「一丁目一番地」として据えられています。
そのうえで新しい内容では、第一に、安倍政権のもとでの9条「改定」に反対し、「改憲発議そのものをさせないために全力を尽くす」ことが入りました。
第二に、沖縄の問題で、名護市辺野古での「新基地建設を直ちに中止」「普天間基地の早期返還を実現し、撤去を進めること」が盛り込まれました。
第三に、原発では「福島第一原発事故の検証や、実効性のある避難計画の策定、地元合意などのないままの原発再稼働」を認めないとされ、「再生可能エネルギー」を中心としたエネルギー政策の確立と地域社会再生によって「原発ゼロ」を目指すと明記されました。
第四に、消費税について「10月に予定されている消費税率引き上げを中止し、所得、資産、法人の各分野における総合的な税制の公平化を図ること」と焦眉の課題で一致点が確認されました。
憲法、沖縄、原発、消費税は国政の根幹部分です。そこで市民と野党の共通の旗印が立ったことはとても大きな喜びです。
この他▽「膨張する防衛予算、防衛装備」に対して9条の理念に照らした精査と縮小の方向▽全ての子どもと若者に向けた保育、教育、雇用に関する予算の飛躍的な拡充▽地域間格差の是正をしながら最低賃金「1500円」を目指すこと▽LGBTs(性的少数者)に対する差別解消施策―など、暮らしを守り、社会の多様性を認める喫緊の課題でも一致することができました。
希望ある政治へ民意にこたえて
16年のときには、市民連合から要望された共通政策を各党が調印する形でした。今回は、市民連合から政策の原案が提起され、5野党・会派で協議して練り上げ、市民連合に提起するという1カ月間にわたるキャッチボールがあり、そのうえで最終的な調印となりました。
4月25日に国会内で政策責任者が会談し、参院選に向けた共通政策の協議を始めました。理念や政策が異なる政党同士、作成過程は必ずしも簡単ではありませんでした。しかし市民連合の提案、すなわち「国民の願いに応えて安倍政権を倒し、新しい政治の姿を打ち出そう」という点で、各党派が一致して協議に臨むことができたと思います。
いま、何より日本国民の中に「暮らしの現実からも、アジアの中での日本の役割という点からも、今の安倍政治でいいのか、うそだらけでなく希望ある政治をつくりたい」という切実な願いが渦巻いています。その願いが市民連合の原案に刻まれていました。
市民連合と野党との意見交換会は、回を重ね、候補一本化の進展と合わせ、政策協議の土台をつくりました。安倍9条改憲に反対する5月3日の東京・江東区での6万5千人の憲法集会など、「9条守れ」という全国の運動が、共通政策に9条改憲や発議阻止を盛り込んだ背景にあります。沖縄については「オール沖縄」で県知事選や県民投票など、「辺野古新基地建設ノー」の圧倒的審判を下してきた沖縄の取り組みがあります。大きなうねりとなった全国の取り組みが政策に反映されています。
国会で共闘前進 信頼築き上げた
この間、国会での野党共闘が前進したことは極めて重要でした。森友・加計疑惑はじめ、「働き方改革」や毎勤統計のデータねつ造問題など、野党合同ヒアリングは18年からかぞえ27分野、214回に達します。合同院内集会は10回開催。野党共同の提出法案は17年の総選挙以降で25本に上ります。国会での日々の協議の積み重ねが、共通政策作成の信頼を築いてきました。
これから、この共通政策の大義の旗を掲げ、国民の皆さんに大いに訴え、政治を変える仕事が始まります。勇躍して取り組む時です。
【「しんぶん赤旗」2019年6月1日付】