衆院経済産業委員会は22日、カルテルや入札談合に対する課徴金を拡充する独占禁止法改正案に対する参考人質疑を行いました。日本経団連の井上隆常務理事、新経済連盟の吉田浩一郎理事、神戸大学大学院法学研究科の泉水文雄教授、弁護士の山本晋平氏が意見陳述を行いました。
日本共産党の笠井亮議員は、数年後の取引を対象としたカルテルなど、違反行為の終了後に売り上げが発生する場合には課徴金がゼロとなる実例を紹介。課徴金制度の効果的達成のためには、「実際に得られた利益を徴収」する考え方から「違反者が期待していた利益を徴収」するものに、不当利得の捉え方を改めるべきではないかと質問しました。
泉水氏は、企業がカルテルや入札談合をしようとする場合に期待する利益が、結果としての売上額より大きければ、「期待している利益の方を取らないと(違反行為の)十分な抑止にならない」と指摘し、こうした制度ができれば、抑止力はより機能するとの見解を述べました。
笠井氏は、経団連会長企業の日立製作所をはじめ、役員企業でのカルテル・談合事件が相次いでいる事態に触れ、井上氏に、独禁法違反の根絶のために「経団連が果たす役割と責任は大きい」とし、対応をただしました。井上参考人は、深刻な問題だと認め、企業行動憲章の徹底に危機感をもって取り組んでいると表明しました。
【「しんぶん赤旗」2019年5月29日付】