日本政府と三菱重工業がトルコでの原子力発電所の建設計画について、断念を視野に同国政府と調整に入ったことが4日、分かりました。東日本大震災を受けた対策の費用が膨らみ、建設費が当初想定の2倍以上に増大。トルコ側が建設後の売電価格の引き上げなど計画を見直さない限り事業化は困難と判断しました。
世耕弘成経済産業相は同日の閣議後記者会見で、「現在まさに(トルコ側と)協議を行っている最中だ」と説明する一方、「何らかの決定が行われた事実はない」と述べました。
2013年、日本からトルコに原発を輸出することで両国政府が合意しました。計画では、23年の稼働開始を目標に黒海沿岸で4基の原発を建設します。
三菱重工は今年7月末、事業化に向けた調査報告書をトルコ政府に提出しましたが、建設費が当初想定した2兆円の2倍以上に膨らみました。トルコの通貨リラの下落もあり、採算確保が一段と難しくなっています。
同社幹部は、トルコ側に現状のままでは採算が合わないとの判断を伝えていることを認めた上で、計画打ち切りの最終判断は「トルコ側の問題だ」と話しました。
日本共産党の笠井亮政策委員長・衆院議員の話
世界有数の地震国、トルコへの原発輸出をやめよと国会で何度も取り上げてきました。トルコへの原発輸出断念は、東電福島第1原発事故の反省もなく、安倍政権が原発メーカーや経団連と連れ立って原発のトップセールスを進めたエネルギー戦略の破綻にほかなりません。
日立製作所が英国で進める原発建設もきっぱり中止すべきです。
ハイリスク、ハイコストの原発から手をひき、再生可能エネルギーを主力に―これが世界の流れです。
日本共産党など野党4党の「原発ゼロ基本法案」の実現で、原発ゼロ、輸出もしないエネルギー政策への転換は待ったなしです。
【「しんぶん赤旗」2018年12月5日付】