志位委員長、原告側弁護士の協力要請に
日本の過去の侵略戦争・植民地支配のもと「徴用工」として強制労働させられた韓国人への賠償を同国大法院(最高裁)が新日鉄住金(旧日本製鉄)に命じた判決に関して、原告側弁護士らは12日、日本共産党の志位和夫委員長の国会事務所を訪れ、問題解決に向けて協力を要請しました。笠井亮政策委員長らが同席しました。
要請に訪れたのは、林宰成(イム・ジェソン)、金世恩(キム・セウン)の両弁護士ら。林弁護士は同日、賠償命令に従うよう求めるため新日鉄住金本社を訪れたものの、同社が面談にも応じなかったとし、「今日は私たちの話を聞く機会をつくっていただき本当にありがとうございます」と表明。志位氏が1日に発表した見解「徴用工問題の公正な解決を求める――韓国の最高裁判決について」にもふれて感謝を述べました。
志位氏は、自身の見解にもふれて、「徴用工問題の本質は、侵略戦争・植民地支配と結びついた重大な人権問題です。日本政府と該当企業は、過去の誤りへの真摯(しんし)な反省を基礎にして、被害者の尊厳、名誉を回復するために努力すべきです」と表明。
1965年の日韓請求権協定では両国間の請求権問題が「完全かつ最終的に解決」されたと述べているが、「被害者個人の請求権は消滅していない」ということは、日本の政府と最高裁、韓国の政府と大法院の4者が一致して認めているとして、「日韓両国政府、該当企業は、この一致点にもとづいて真剣な話し合いを行い、前向きの解決のために努力すべきです」と述べました。
さらに志位氏は、韓国の大法院判決が、原告が求めているのは植民地支配と直結した反人道的行為に対する慰謝料であり、同請求権協定交渉の際に日本政府が植民地支配の不法性を認めなかったことなどを指摘して、国家間の請求権問題が解決していないと主張していることについて、「この論理は検討されるべき論理だと考えています」と語りました。
そのうえで志位氏は、中国人の強制連行問題では、2007年の日本の最高裁判決で「(個人の)請求権を消滅させることを意味しない」との判断がされたことを受け、西松建設が和解に応じて和解金を支払い、和解のモニュメント(記念碑・像など)もつくった事例を紹介。「西松建設ができて、住金ができないという理屈はありません。同じ侵略戦争・植民地支配の被害者であり、西松建設のやったような和解の道は、日本の最高裁の法理、政府の見解に照らしても可能だし、そういう方向で真剣な話し合いをやるべきです」と述べました。
金弁護士は「一刻も早く被害者の権利が回復できるよう、裁判でなく両国政府が適切な方式で積極的に対策をたてることをお願いしたい」と語りました。
志位氏は「過去の侵略戦争、植民地支配に命がけで反対を貫いた日本の政党として、この問題でも力をつくすことを約束します。歴史問題を前向きに解決することが両国間の本当の意味での心の底からの友好の関係をつくることになります。そのために努力したい」と述べ、固い握手を交わしました。
【「しんぶん赤旗」2018年11月13日付】