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【第192臨時国会】◎論戦ハイライト◎皆保険制度に深刻な影響(16/10/27TPP特)

 多国籍企業の利益のために、国民皆保険制度に深刻な影響を与え、経済主権を米国に売り渡す環太平洋連携協定(TPP)の姿が浮き彫りになりました。笠井亮議員は27日の衆院TPP特別委員会で、TPP承認案・関連法案の今国会での成立を狙う安倍政権の姿勢を追及しました。

米国から内政干渉
 笠井氏は、TPPが参加12カ国によって署名された2月4日に、日米両政府が書簡で「関連する将来の保健医療制度を含む」事項について「協議する用意があることを確認する」と確認していたことを告発しました。
 笠井 将来の保健医療制度の改変についても協議する用意があると、日米政府間で約束していたのではないか。
 安倍晋三首相 米国政府の意向を受け入れることを約束したものではない。
 「懸念はない」と開き直る首相と塩崎恭久厚労相。笠井氏はこれに反論し、「米側の要望を受けて確認しあったことは明らかだ。保険証1枚で医療が受けられる皆保険制度の根本にかかわる問題だ」と迫りました。
 笠井 米国は、自国の医療業界の対日要求をのませる仕組みを着々と整えてきたのは明らかだ。
 厚労相 いずれも手続きを確認しているだけ。米国の意見を受け入れることを約束したものではない。
 笠井 TPPが署名されたその日に、国民皆保険制度の根幹にかかわる問題で協議する用意があると合意した。日本の医療制度のあらゆる事項について、米国製薬大企業と政府からの内政干渉を丸ごと受けかねない規定だ。国民皆保険制度が内側から壊され、空洞化する危険がある。

経済主権売り渡す
 ISDS(投資家対国家紛争解決)条項は、投資家や多国籍企業が、投資先の国の政府や自治体の政策が協定に違反し損害を被ると判断した場合、国際的な仲裁機関に訴えることができる仕組みです。
 外務省は笠井氏の求めに対して、スウェーデンの大手電力会社がドイツ政府を訴えた事例や、フランスの水道会社がエジプト政府を訴えた事例など、ISDSを使った国際的な仲裁裁判の事例を示しました。
 北米自由貿易協定(NAFTA)のISDS条項に基づき、米国、カナダ、メキシコの3カ国合計で企業側が提訴した訴えは69件。そのうち50件(72%)が米国企業の提訴によるものです。
 さらに米政府は外国企業に訴えられても負けたことがありません。
 笠井 米国通商代表部(USTR)は、農業分野以外にも郵政、保険、知的財産、自動車、東京五輪建設事業などの分野にも米多国籍企業が参入しやすいよう要求してきた。これらを実現するために、TPP発効後、ISDS条項を使い訴えてくることはないと断言できるか。
 岸田文雄外相 ISDS条項を使って提訴されることはないと考えている。
 楽観論に終始する外相。笠井氏は、多国籍企業から訴えられることを口実に、政府が国民の命や健康を守ることに取り組まなくなる「萎縮効果」が出てくると糾弾しました。
 外務省は4月1日に、TPP協定の早期発効に備え「国際経済紛争処理室」をすでに設置しています。
 笠井氏は「実際に訴えられることに備えて対策をとっているではないか」と指摘。「多国籍企業の利益のために、国民の暮らしや権利を犠牲にするISDS条項で経済主権を売り渡してはならない」と強調し、TPP承認案・関連法案の徹底審議を求めました。
【「しんぶん赤旗」2016年10月28日付】

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