共産党が衆院予算委で追及/笠井・赤嶺両議員
南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派兵予定の自衛隊部隊が安保法制=戦争法に基づく新任務の訓練を開始し、沖縄県東村高江では米軍のためのオスプレイ着陸帯の建設を強行する―。日本共産党の笠井亮、赤嶺政賢両議員は3日の衆院予算委員会で、安倍政権が加速させる暴走政治を追及しました。
南スーダンPKO/市街戦想定し訓練も/自衛隊文書で明らかに/笠井議員
政府は、11月にも派兵予定の第11次隊について第9師団(青森市)を中心に編成する予定です。すでに9月14日から戦争法に基づく「駆け付け警護」などの新任務の訓練を始めました。駆け付け警護とは、他国部隊やNGO職員が攻撃されたときに、自衛隊が一緒に応戦することです。
一体どんな訓練をしているのか。防衛省は、その内容を一切明らかにしません。そこで笠井氏がとりあげたのが、陸上自衛隊研究本部が作成した「教訓要報」(2014年)です。13年末に南スーダンでは大統領派と副大統領派が武力衝突し、自衛隊宿営地周辺でも激しい戦闘がありました。これを受け、陸上幕僚長に報告した文書です。
同文書は当時の隊長から出た意見として、「現地においては宿営地周辺情勢悪化のため、全隊員に武器・弾薬を搬出・携行させた例」があるとし、「全隊員による個人携行火器の実弾射撃(至近距離射撃)実施」をあげています。
稲田朋美防衛相は「至近距離射撃とは、主として市街地、建物などにおける近接戦闘に対処するために行う射撃」と答弁しました。
戦争法に基づき「駆け付け警護」などの新任務も可能になった今、市街戦を想定し、こうした「至近距離射撃」や、さらに過酷な訓練が行われている危険があります。
笠井氏は、今年7月には自衛隊宿営地のある首都ジュバで大規模戦闘があり、13年当時に比べ「より深刻だ」と指摘。それにもかかわらず自衛隊に新任務を与えれば、「政府軍や反政府勢力との戦闘も想定され、自衛隊員が誤って避難民など民間人を撃ち、報復攻撃を受け、隊員自身の生命に危害が及ぶことが現実に起こりえる」と述べ、南スーダンからの自衛隊撤退と、戦争法発動の中止を求めました。
豊洲/国の責任問う/笠井議員「整備計画から外せ」と要求
笠井氏は、築地市場の移転先とされている豊洲新市場の施設下で土壌汚染対策の盛り土がされていなかった問題をとりあげました。
移転には農水相の認可が必要です。認可の基準は、国策定の中央卸売市場整備計画に適合しているかどうかです。
計画策定にあたり農水省は食料・農業・農村政策審議会に意見を求めました。その際、「盛り土を行う」とする都の虚偽の資料が提出され、その上で計画了承の答申が出されました。
笠井氏は「答申の前提が崩れている。審議やり直しが筋だ」と強調。「移転が整備計画に盛り込まれ、都はそれを後ろ盾に計画を進めてきた。国の責任が問われる」とし、豊洲移転計画を整備計画から外すよう求めました。
山本有二農水相は「対象から外すかどうかを含め厳正に検討したい」と答弁しました。
米軍優先で自然壊す/オスプレイ着陸帯の強行批判/赤嶺議員
赤嶺氏は、周辺住民や自然環境への影響を無視し、対米公約最優先でオスプレイ着陸帯建設を強行する政府の姿勢を批判しました。
防衛省は、北部訓練場の一部返還の条件として東村高江周辺の4地区に六つの着陸帯を移設する計画です。このうち二つは完成し、2015年に米軍に提供されました。残り四つの建設を、機動隊を動員し、強権的に進めています。
防衛省の調査によると、高江で15年度の昼間に測定された騒音発生回数は2988回。12年度の465回に比べ、急増しています。
赤嶺氏は「二つの着陸帯が完成しただけで、深刻な騒音被害が発生している。残り四つをつくれば被害がいっそう拡大することは明らかだ」と告発しました。
さらに問題なのは、07年には「動物への影響をより少なくする」ために着陸帯建設を「1地区ずつ実施」としていたものを、今年7月になって「3地区同時に実施」と変更したことです。
理由をただした赤嶺氏に防衛省の深山延暁地方協力局長は「一日も早く可及的速やかな工事方法をとりたいからだ」と答弁。安倍晋三首相は「六つのヘリパッドは、米側との約束であり、やらざるをえない」と開き直りました。
赤嶺氏は、移転元となる着陸帯は米側さえ使っていないと認めているものだと指摘し、「地位協定でも未使用の基地は速やかに返還することになっている。条件付けずに返還すべきだ」と求めました。
【「しんぶん赤旗日曜版」2016年10月9日号】