「射殺」前提の作戦も/笠井氏、内部文書暴露
南スーダンPKO(国連平和維持活動)で活動する自衛隊部隊への戦争法発動を検討中の安倍政権。そこで「駆け付け警護」などの任務が加わる危険があります。「駆け付け警護」とは、どんな軍事作戦か―。日本共産党の笠井亮議員の衆院予算委員会での追及(2月29日)で、その危険な実態が判明しました。
11ある戦争法の一つ、改定PKO法が可能にした「駆け付け警護」―。他国部隊やNGO職員が攻撃された際に自衛隊が駆け付けて「警護」にあたる作戦です。
笠井氏が示したのは、2012年3月27日付の「PKO法改正に向けた検討」と題する防衛省の内部文書。「特に厳重な取扱を要する」と書かれています。
同文書は「駆け付け警護」の対応例の一つに「実力行使による救出(強行突入・人質奪還等)」をあげています。
その内容を生々しく示すのが「取扱厳重注意」と特筆された「実力行使を伴う救出の流れ」を示す「イメージ図」。「必要により敵監視要員を狙撃・射殺して、突入部隊の突入・鎮圧を容易化」するなどの作戦手順を明らかにしています。「敵」への「狙撃・射殺」が前提の作戦です。
文書は「実際の作戦は、武装集団を射殺することはおろか、万が一、失敗すれば文民等を死亡させるリスクもある」とも記述。救出すべき人質らが死亡する危険も認めています。
同文書作成後に成立した改定PKO法で、こうした作戦が可能になるのか。笠井氏が再三ただしたのに対し、中谷元・防衛相は「法律の範囲内で実施する」というばかり。安倍晋三首相も「法律上できない」とは明言しませんでした。
笠井氏は、敵・味方の識別の難しい南スーダンの紛争現場で自衛隊の任務を拡大すれば「戦闘の当事者になることは避けられない。大変に危険だ」と批判しました。そのうえで人道支援の強化や統治機構の改善など、同国でも憲法9条に基づき日本にできることはたくさんあると力説。戦争法廃止と14年の「閣議決定」撤回を強く求めました。
【「しんぶん赤旗日曜版」2016年3月6日付】