PKO駆け付け警護で検討/笠井議員が暴露
日本共産党の笠井亮議員は29日の衆院予算委員会で、防衛省の内部文書「PKO法改正に向けた検討」(2012年3月27日付)を取り上げ、同省が「人質救出」などの任務付与を想定し、相手の「狙撃・射殺」を前提に作戦検討をしていたことを暴露しました。
「取扱厳重注意」とされた同文書では、PKO(国連平和維持活動)法改定で、他国部隊や文民などを救出する「駆け付け警護」が行われることを想定。その一部として「実力行使による救出―強行突入・人質奪還等」をかかげています。そうした場面として、「武装集団が文民等を誘拐・拉致し、当該武装集団の拠点(建物など)で拘束。文民等は危険な状況にあるも、動きがとれない状況」にある場合を想定し、「人質救出」のため「必要により敵監視要員を狙撃・射殺して、突入部隊の突入・鎮圧を容易化」などの手順が記されています。
さらに文書は「(人質救出の)実際の作戦は、武装集団を射殺することはおろか、万が一、失敗すれば、文民等を死亡させるリスクもある」としており、救出対象が死亡する可能性を指摘しています。
中谷元・防衛相はこうした任務について、「あらゆる面で検討している」と述べ、検討していることを認める重大答弁を行いました。さらに、戦争法の一部である改定PKO法で、法文上はこうした任務を排除しないことを示唆しました。
また笠井氏は、現在自衛隊がPKO部隊を派兵している南スーダンの情勢について、2月17~18日に同国北東部マラカルの国連施設に政府軍兵士が侵入、住民への発砲や放火などで18人が死亡し多数の負傷者を出す事件が発生したことを紹介。国連の報告書が「いつ何どき、大規模紛争が再来するかもしれない」と指摘するような情勢であると指摘しました。
「敵と味方の識別が難しい紛争現場で、自衛隊の任務を拡大すれば、戦闘の当事者になるのは避けられない」と述べた笠井氏。集団的自衛権行使を容認した閣議決定の撤回、野党5党が共同提出した戦争法廃止法案のすみやかな審議入り・成立を要求しました。
【「しんぶん赤旗」2016/3/1付】