内部文書から判明 戦争法と一体で検討
陸上自衛隊が広大な敷地のある北海道の訓練環境を活用して、海外派兵や中国をにらむ南西諸島へいち早く展開する「機動運用部隊」の一大訓練拠点とする検討を進めていることが、陸上幕僚監部防衛部の内部文書から分かりました。
文書は「陸幕施策等説明」との題名で、安倍政権が戦争法(安保法制)を強行した直後の、2015年9月28日付で作成されています。日本共産党の笠井亮衆院議員の資料要求に対して、防衛省が提出しました。
安倍政権が13年末に策定した現「防衛計画の大綱」では、北海道に所在する2師団(第2師団・第7師団)と2旅団(第5旅団・第11旅団)のすべてを、空輸などで身軽に戦地派兵ができる、機動運用を基本とする部隊へ改編することになっています。
文書は、「機動運用部隊」や、日本版海兵隊にあたる「水陸機動団」の創設など、海外展開型への一連の変貌について、「陸自創隊以来の大改革」と強調。全国の陸自部隊が「新たな戦い方」を習得するため、「訓練環境良好な北海道の利点を最大限活用」するとしています。
その中心にあげられているのが、北海道大演習場(札幌市、北広島市、恵庭市、千歳市)と、国内最大規模の矢臼別演習場(別海町、厚岸町、浜中町)です。
また、部隊の早期育成と「戦い方」の検証を支援するため、「訓練評価支援隊(HTC)」と称する専門部隊も北海道大演習場の近傍に新しく編成する方針です。
「機動運用部隊」は、中国をにらむ「南西諸島防衛」への投入が建前とされています。しかし、「市街地戦闘訓練」や「国際活動派遣準備訓練」が文書に明記されているように、「専守防衛」を踏み越えた海外への機動展開も視野に入っています。