笠井氏追及/陸自内部文書に「火網の連携」
日本共産党の笠井亮議員は25日の衆院外務委員会で、戦争法(安保法制)で自衛隊のPKO部隊に新たに追加される他国軍との「宿営地の共同防衛」で、これまで憲法違反とされた「火網の連携」が可能になることを明らかにしました。
「火網(かもう)」とは「銃砲を縦横に発射し、弾道の網を張りめぐらせた状態にすること」を指す言葉(広辞苑)ですが、大日本帝国陸軍が定めた「歩兵操典」によれば、「敵を効果的に撃滅するため、機関銃(迫撃砲や火砲等の支援火器を含む)を網のように配置し、十字砲火を浴びせる火力配置」をいいます。
笠井氏が入手した陸自研究本部の内部文書「南スーダン派遣施設隊第5次要員に係る教訓要報」には、2013年末に南スーダンで大統領派と前副大統領派の武力衝突が発生した際、国連南スーダン派遣団(UNMISS)司令部が、日本を含む各国の部隊に「火網の連携」による宿営地の警備施設強化命令を下し、自衛隊は拒否したことが記されています。
同時に文書には、他国軍との「火網の連携」は「我が国の従来の憲法解において違憲とされる武力行使にあたる」ため「実現困難と見られたものの、今後の法整備の状況によっては連携の調整もあり得る」と明記されています。
笠井氏は「安保法制の施行により、今後、UNMISS司令部から他国軍との『火網の連携』を命じられても、今度は『調整』が可能となる。結局、命令を断れなくなる」と追及。防衛省の若宮健嗣副大臣は「その時点の状況を総合的に勘案しながら具体的にどういった対応が可能なのかを決める」と述べ、否定しませんでした。
若宮氏は「宿営地の共同防衛」について、29日の戦争法施行後も隊員の安全確保などを理由に、当面の運用を見送る方針を示しました。笠井氏は「当面の運用を見送るほど『殺し、殺される』危険があるということだ」と強調。戦争法は施行ではなく、キッパリ廃止すべきだと強く求めました。