笠井氏、EU基準示し批判
九州電力の川内(せんだい)原発(鹿児島県)1、2号機の再稼働の前提となる新規制基準への適合性審査をめぐって、田中俊一原子力規制委員長が7日、衆院原子力問題調査特別委員会で「川内原発は世界最高レベルの水準にある」「世界最高水準の安全性は担保された」と発言しました。斉藤鉄夫氏(公明党)への答弁。田中氏が川内原発の安全性を担保するとまで踏み込んだのは初めてです。
同委員会で質問に立った日本共産党の笠井亮議員は「福島の事故もまだ収束していないし、原因も究明されていない」として、驚くべき発言だと指摘。新規制基準が、欧州連合(EU)の基準で実施されているものすら盛り込まれていないことを示し、「最高水準とはいえない」と厳しく批判しました。
欧州連合の加圧水型原発の規制基準では、大型の航空機が衝突しても耐えられるように格納容器の二重構造が要求されているのに対し、日本の基準には要求されていません。
九電は航空機落下の確率が年1000万分の1回を超えないとして「設計上考慮する必要はない」と評価し、規制委も妥当と認めています。
笠井氏は、軍用機が原発上空を飛行している事実や、墜落事故が頻発するオスプレイの佐賀配備計画、米軍機がどこを飛んでも日本政府のモノも言えない姿勢を示し「なぜ審査結果は妥当だ、世界最高水準だ、といえるのか」と追及。田中氏は「すべての点について一点の曇りもなく世界最高だということは申し上げていない」「(既存の原子炉で)格納容器を2重にすることは不可能」と開き直りました。
新規制基準での安全性について田中氏は、4月24日の同委員会で「規制は…必要条件でありますが、それで十分安全を担保できるかということになりますと、それは少し違う」と述べていました。
審査書案撤回を 笠井議員
日本共産党の笠井亮議員は7日、衆院原子力問題調査特別委員会で、川内原発の適合性審査をめぐり、原子力規制委員会が、18項目の重大事故対策要員がいずれもわずか52人以内で対応可能だと認めたことについて根拠を示すよう求めました。田中俊一規制委員長からは明確な答弁はありませんでした。笠井氏は、福島事故の教訓をみても「52人以上の要員が必要だという事態は起こらないだろうという願望にすぎない」と指摘しました。
笠井氏は、火山噴火の危険などもあるなか「今回の審査書案は、他にも問題を抱えながら、まともな対応もないまま、事実上の再稼働の合格証明書を出すもので、断じて認められない」と、審査書案を撤回し、「不合格証明書」こそ出すべきだと強く求めました。