拉致問題でも「具体的な行動が必要」
日本共産党の笠井亮議員は9日の衆院拉致問題特別委員会で、北朝鮮が「抑止力」として新たな核実験に言及していることを批判し、この問題の解決のためにも日本政府が“核抑止力論”を認めず核兵器廃絶に率先して取り組むように求めました。
北朝鮮は「核抑止力をさらに強化するための新しい形態の核実験も排除しない」(3月30日、外務省声明)と、4回目の核実験の可能性を表明しています。
笠井氏は、3月末の日朝政府間協議で日本側が核実験の自制を求めた際の反応について外務省に確認。下川眞樹太アジア大洋州局参事官は「詳細はさし控えたいが、従来の立場にもとづく発言があった」と述べ、北朝鮮側が姿勢を改めなかったことを示唆しました。
笠井氏は「(北朝鮮の)最大の理論付けは核抑止論だ。核兵器の保有を居直る態度は絶対に許されない」と指摘。国際社会には▽北朝鮮を真剣な対話のテーブルにつかせる努力▽「核兵器のない世界」への具体的な行動を取りながら北朝鮮に核兵器の放棄を迫る努力―の両面が必要だと提起しました。
岸田文雄外相は、「ご指摘のように、強いメッセージを国際社会とともに発していきたい」と答えました。
笠井氏は、「北朝鮮が“核抑止力”といって核保有を合理化する以上、日本にもはね返ってくるという問題がある。日本自身が米国の核の傘から脱却すべきだ」と主張しました。
笠井氏は、北朝鮮による拉致問題の調査のあり方についても質問。6年前の日朝実務者協議で▽生存者を発見し帰国させるための全面的な調査▽権限を与えられた北朝鮮の調査委員会が迅速に行う―などが確認されているとし、「これまでの議論や確認事項を踏まえ、協議で問題提起していくのか」と質しました。
岸田外相は「(北朝鮮と)これまでのやりとりを確認し、わが国の立場も説明した上で、協議継続で一致した」とし、交渉を進める意向を示しました。
また、笠井氏は、帰国した拉致被害者やその家族の実情や年齢構成に見合った政府の柔軟な支援の必要性について質問。日本共産党は、新たな支援策を超党派で講じるため力を尽くすことを表明しました。