笠井氏 「設置目的に反する」
海洋科学技術の研究機関である独立行政法人「海洋研究開発機構」(平朝彦理事長)が、自律型の無人潜水艇(UUV)・水上艇(USV)の開発に向けて防衛省技術研究本部と研究協力協定を結んでいたことが分かりました。16日の衆院外務委員会で、日本共産党の笠井亮議員がこの問題を取り上げ、軍事技術開発への協力は同機構が設置目的で掲げる「平和と福祉の理念」(根拠法4条)に反すると指摘しました。
協定締結は3月27日付。若宮健嗣防衛政務官はUUVについて、対潜水艦戦や対機雷戦を含む「海中の警戒監視が主目的」と説明。攻撃能力は「含まれていない」と否定しました。
笠井氏は、防衛省の2007年の文書がUUVについて「水中を自律で行動し、搭載センサーによる目標の識別、判断、攻撃等を可能」とすると明記していると指摘。機構の前身「海洋科学技術センター」の根拠法の審議時に、当時の科学技術庁長官が「軍事目的の研究開発は全く考えていない」(1971年3月24日、衆院特別委)と答弁していたことも示し、機構の根拠法でも「平和と福祉の理念」は踏襲されていると強調しました。
機構を所管する文部科学省の冨岡勉政務官は「協力は合意した課題に限り行う」と釈明。防衛省からの受託研究については「その都度検討していく」と否定しませんでした。岸田文雄外相は「研究開発の成果を期待したい」などと容認しました。