志位委員長と会見、国民的討論と合意よびかけ
日本共産党の志位和夫委員長は13日、国会内で記者会見し、「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格的導入を 国民的討論と合意をよびかけます」と題する党の提言を発表し、“原発からの撤退”での国民的合意づくりをよびかけました。笠井亮衆院議員が同席しました。
(提言全文/bt_20110616143532.pdf)
提言全文(「しんぶん赤旗」6月号外/PDF)
志位委員長の会見
志位氏は、「福島原発の事故は、原発頼みのエネルギー政策を21世紀も続けていいのかという問いを突きつけている」と指摘。「この事故が明らかにしたものは何か」と問いかけ、(1)原発事故には、他の事故にはみられない「異質の危険」がある(2)現在の原発技術は、本質的に未完成で危険なもの(3)世界有数の地震国・津波国に集中立地することの危険(4)「安全神話」への固執の深刻な結果が明瞭になったこと(5)安全な原発などありえない―という五つの点に言及しました。
原発事故の「異質の危険」という点では、「飛行機も墜落する危険性がある」(中曽根康弘元首相)などという推進派の発言を批判。「原発事故には、放射性物質が外に放出されると、もはやそれを抑える手段は存在せず、被害を空間的、時間的、社会的に限定できないという他に類のない特徴がある。それへの国民の不安が広がっている」と強調しました。
使用済み核燃料を後始末する方法が見つけられていないことに関し、青森県六ケ所村の再処理工場も受け入れ可能量の87%に達しており、全国の各原発施設のプールもあと数年で満杯になりかねないと指摘。「こうした技術を使い続けていいのか」と問いかけました。
志位氏はさらに、“世界最高水準の安全基準を決める”などといって原発依存を続けようとする政府の姿勢を批判。「原発の危険性を最小限にするために最大の措置をとる必要があるが、それでも安全な原発などありえないということを直視しなければならない。日本国民が、そのような危険な技術を社会的に許容していいのかが問われている」と強調しました。
5~10年以内に撤退を
その上で志位氏は、まずは政府が「原発からの撤退の政治的決断」を行う必要があると強調。撤退にかける期間やエネルギー政策については国民的討論を踏まえて決めるべきだが、党としては「5~10年以内を目標に原発から撤退するプログラムを政府が策定すること」を提案するとのべました。
この期間に、電力消費量を10%程度削減して、現在総発電量の9%程度の自然エネルギーを2・5倍程度に引き上げれば、原子力の発電量(2009年度実績で25・1%)をカバーできると話しました。
また志位氏は、原発縮小にただちに踏み出すこと、原発の危険を最小限にする原子力の規制機関の設置を提起。自然エネルギーの本格的導入と、低エネルギー社会にむけたとりくみも詳しく提起しました。
最後に志位氏は、「原発からの撤退という一点で、ぜひ国民的な討論を起こし、国民的な合意を形成して、政府に実行をせまっていきたい」と述べました。
(しんぶん赤旗/2011年6月14日より)