日本共産党の志位和夫委員長は2日、来日中のベトナム共産党のチュオン・タン・サン政治局員・書記局常務と都内で会談し、抗米救国戦争以来の伝統的な両党の友好・協力関係をさらに発展させていくことで合意しました。
サン氏は冒頭、ベトナム政府と国民を代表して東日本大震災へのお見舞いを表明。今年1月のベトナム共産党第11回大会で選出されたグエン・フー・チョン新書記長から、志位委員長へのあいさつを伝えました。
志位氏はお見舞いに感謝するとともに、日本共産党が被災者支援と復興に全力をあげていることを紹介。党大会の成功にお祝いを述べました。
両党の連帯をさらなる高みに
志位氏は、2007年のノン・ドク・マイン書記長との両党首脳会談で、(1)両国関係の発展に寄与する(2)世界とアジアの平和のために協力する(3)条件は異なるが社会主義を目指す党として理論交流をすすめる―という3点で両党関係を21世紀にふさわしく発展させると合意したことを想起しつつ、この合意に基づき、2010年の核不拡散条約(NPT)再検討会議やアジア政党国際会議などの場で核兵器廃絶の課題で協力してきたこと、東京とハノイで3回にわたって理論交流が行われてきたことに言及。「両党の友好・連帯関係をさらなる高みに引き上げたいと願っています」と述べると、サン氏は大きくうなずき、固い握手で応じました。
サン氏は、「ホー・チ・ミン主席の時代からの伝統的な友好関係が発展することを確信しています」と表明。この間の両党の理論交流について「とても有益でした」とし、「交流を続けていきたい」と述べました。また、「戦争で大被害を受けた国としてベトナムも核兵器のない世界を目指しています」と強調しました。
原発問題の立場を伝える
会談で志位氏は、原発に関する日本共産党の立場も紹介しました。
福島原発事故で示されたように、現在の原発技術は未完成で危険なものであること、大量の放射性物質が外部に放出される重大事故が起これば、被害は空間的にも時間的にも社会的にも制限することができないものであることを明らかにし、日本共産党が、日本政府に原発からの撤退を決断するよう提起し、危険な原発の輸出には反対していると説明しました。
そして、志位氏は、自国のエネルギーをどうするかはベトナムの主権の問題としつつ、「日本で起こった悲劇がベトナムで繰り返されるのを見たくはありません」と述べ、日本の教訓をぜひ研究してほしいと語りました。
サン氏は、「原発事故には重大な関心があります。完全な安全対策が(原発建設の)根本的な条件です。われわれには、日本共産党がいて警告してくれます。とても大事な指摘で、感謝します」と述べました。
会談には、日本側から笠井亮衆院議員、森原公敏国際委員会事務局長、田川実書記局員、ベトナム側から、グエン・トアン・ミン・バリアブンタウ省党書記、グエン・バン・タイン・ハイフォン市党書記、ホー・スアン・ソン外務次官、グエン・フー・ビン駐日ベトナム大使らが同席しました。
(2011年6月3日(金)「しんぶん赤旗」より)