日米豪の三国の軍事協力強化と批判
日本共産党の笠井亮議員は12日、衆院外務委員会で、政府が米国以外の国とは初めて締結した日豪の物品役務相互提供協定(ACSA)について、日米同盟を軸に日米豪の軍事協力を強化するものだと厳しく批判しました。
笠井氏は、締結の契機になった「安全保障協力に関する日豪共同宣言」(2007年3月)では、日豪協力の強化が米日豪「三カ国間の協力の強化に資する」と明記されていると指摘。米国を主軸とする事実上の「3カ国軍事同盟」を形づくる上で重要な役割を担うものなのではないかとただしました。
前原誠司外相は、日豪ACSAは平和維持活動(PKO)や大災害などでの日豪の円滑な協力をはかるものだと述べる一方で、「3カ国の協力関係を強めようということは当然いろんな場面ではある」とも答えました。
笠井氏は、日本がこれまで米国の要請に応えて自衛隊の海外派兵を増加・拡大し、06年には憲法に反して海外派兵を「本来任務」にしてきたことを指摘。オーストラリアもアフガン、イラク戦争など米国の戦争に参戦し、イラク・サマワでは自衛隊を警備したと述べ、日豪の協力強化によって米国の戦争にいっそう大きな役割を担うことになると批判しました。
笠井氏の質問に対して、前原氏は韓国とのACSAも「状況に応じて考える」と答弁。笠井氏は「米国を軸とした同盟国間の軍事協力が進んでいることは看過できない」と強調しました。(しんぶん赤旗/2010年11月13日よri)
◆審議録(bt_20110920111718.pdf)
笠井議員が反対討論
12日開催された衆院外務委員会では、日豪ACSA、ヨルダンとの原子力協定、オランダとの租税条約、スイスとの租税条約改定議定書の四本の条約・協定が審議・採決され、日本共産党が反対する中、賛成多数で承認されました。社民党は日豪ACSAに反対しました。
反対討論で笠井議員は、日豪ACSAは、自衛隊が海外で他国の軍隊とともに活動することを前提に他国の軍隊との軍事協力を拡大し、海外派兵体制を強化・拡大するもので、憲法9条をいっそう踏みにじると指摘。日豪の軍事協力の範囲を拡大することで米国との同盟を軸に3カ国の軍事協力を強化するものであり、世界の平和の流れに逆行すると強調しました。
ヨルダンとの原子力協定については、同国の原子力発電所建設計画に日本企業が参加し、関連機器の輸出など「原子力ビジネス」の枠組みをつくるものだと指摘。重大事故が頻発し、安全性が未確立な原発への依存を深め、国内外で無謀な新増設を推進するものだと反対しました。
オランダとの租税条約、スイスとの租税条約改定議定書については、両国に展開する日本の多国籍企業とその海外子会社が源泉地国課税を減免されるだけでなく、国内税制とともに大企業優遇税制を拡大強化するものだと批判しました。