「密約は研究課題でなく今につながるもの」笠井議員批判
日本共産党の笠井亮議員は7日の衆院外務委員会で、1960年の安保改定時の核持ち込み密約問題で政府を追及しました。
笠井氏は、日本共産党の志位和夫委員長が提出した質問主意書への政府答弁書(3月30日)は、91年のアメリカの核兵器に関する政策が、水上艦など米国の艦船から戦術核兵器を撤去することになったとして「現時点において、核兵器を搭載する米国の艦船の我が国への寄港はない」と明記しているが、「『潜水艦に核巡航ミサイルを配備する能力を維持する』とうたっている94年のNPR(核態勢の見直し)について答弁書はなぜ触れないのか」と迫りました。
岡田外相は、「6日に米政権が発表したNPRでは、核トマホークの廃止が明確になった」として、今後、核持ち込みの心配はないと強弁。笠井氏が、新しいNPRでも、非戦略核兵器配備の能力を残すと明記していると批判したのに対しては、「緊急事態となれば、例外的にその時の内閣が(持ち込みを認めるか)決断する」とのべました。
笠井氏はまた、答弁書が、密約をめぐる60年の「討論記録」について、「共通の理解を記録するための不公表の合意文書」としているが、「共通の理解」とは「日米どちらの理解か」と質問。岡田外相は、「『共通の理解』について日米間で認識の相違があった」と答えました。
笠井氏はさらに、3月30日に、日本共産党の不破哲三前議長が存在を明らかにした二つの米外交文書に言及。安保改定交渉初日から事前協議なしの核搭載艦の寄港を米側が主張し、交渉の結果、日本側が安保条約や密約、その解釈などを一体のものとして受け入れていたことを示すものだと指摘し、政府の認識をただしました。
岡田外相は、「真実を表すものでない。米国の公電を根拠にするのは妥当か」などと答えるとともに、密約の存在について、「学者の論争に任せたらいい」などとのべました。
笠井氏は、「密約は研究課題でなく今につながるもの。日本が密約を認めず廃棄をしないのなら、(今後)核が持ち込まれない何の保証にもならない」と厳しく批判しました。
(しんぶん赤旗/2010年4月8日より)
◆審議録(PDF/bt_20100430122049.pdf)