笠井議員の調査で判明
民主党の小沢一郎幹事長の強い影響力が指摘されている国土交通省直轄の「胆沢(いさわ)ダム」関連工事(2002年~06年)で、1回目の入札で落札にいたらず、再度入札が行われ、1回目と2回目の最低入札者が変わらなかった「1位不動」の入札が85件中、18件(21・2%)もあったことが、日本共産党の笠井亮衆院議員の調べでわかりました。
「1位不動」は談合があった状況証拠とされます。前原誠司国土交通相は、笠井氏の質問(2月17日と3月2日、衆院予算委員会)を受け、胆沢ダムにかんして、談合情報を調査するとしており、徹底的な解明が必要です。
“談合の状況証拠”
国交省は、05年の橋梁談合事件を受け、事務次官を長とする「入札談合再発防止対策検討委員会を設置。同年7月29日、再発防止のガイドラインを設け、「工事種別ごとの1位不動の状況の監視」を決めています。
1回目の入札の最低入札金額者が、そのまま2回目以降も最低入札金額者となって事業を受注するのは、談合があった可能性が高いからです。
公正取引委員会が昨年9月にまとめた冊子「入札談合の防止に向けて」でも、「1位不動」は「談合があると推測できる」とされています。
笠井氏の調べによると、胆沢ダム関連工事で「1位不動」の入札があったのは、02年=21件中6件、03年=17件中6件、04年=17件中3件、05年=14件中2件、06年=16件中1件。02年の6件のうち、3件は計3回の入札が行われましたが、3回とも「1位不動」でした。
実際、18件のなかには、橋梁談合事件に関連して、国交省東北地方整備局が「談合があった」と認定した「胆沢ダム付け替え国道第17号橋上部工工事」(03年12月、住友重機械工業が落札)も含まれています。
落札企業6社、小沢氏側に600万円
付け替え国道の「橋脚橋工事」や、「工事用道路工事」など胆沢ダム関連工事を「1位不動」で受注した企業のうち、6社が小沢氏側に計600万円の献金をしていたことが「しんぶん赤旗」の調べでわかりました。
「1位不動」で受注していたのは三菱電機、住友重機械工業など16社。小沢氏が支部長の「自由党岩手県第4総支部」「民主党岩手県第4区総支部」の政治資金収支報告書(02~06年)によると、高惣建設、小原建設、小野義建設など6社が計600万円の献金をしていました。
笠井氏の追及によって、談合情報があり、その情報どおりの業者が落札した胆沢ダムの本体工事を受注した企業17社から小沢氏側が約3000万円の資金提供を受けていたことがすでに判明しています。
国民の税金で行われる公共事業がゼネコンなどの談合によって受注され、その受注企業から多額の献金を受け取る―。文字どおり税金の還流であり、国会などでの真相究明が必要です。