新政権に見直しを迫っていきたい
「1メートル1億円の道路が本当に必要なのか」「自然環境が破壊されるのでは」―。事業費1兆6千億円という巨額の税金をつぎ込む計画に住民から不安の声があがっている東京外郭環状道路建設に対し、郷土の自然・風土を愛し、守りたいと願う人々は13日、「外環ウォーク世田谷編」と題して東名ジャンクションの建設予定地をウォーキングしました。外環道検討委員会の市民らを中心につくった実行委員会の主催。
強い日差しの下約80人が汗をぬぐいながら3時間近く歩きました。日本共産党の笠井亮衆院議員がかけつけ、実行委員の話に耳を傾けました。今月はじめの「三鷹編」に続く2度目の開催で「前回の報道を見てきた」という30代の夫婦など初参加も目立ちました。
世田谷区の野川沿いは人工河川でありながら豊かな自然を持ち、散策する家族連れや網を持った子どもが水遊びに興じる姿が見られ、地域住民の憩いの場となっています。実行委員が「この辺では道路に流れ出したホタルのえさとなる貝を池に返すことで今でもホタルが自生しています。23区ないで飛びぬけて動植物の数が多いのも特徴です」と説明すると、参加者からは「へえー」という感嘆のため息がもれました。
「直径16メートルの道路という計画だが、分岐点では32メートルにもなる。その大きさを実感してみて」と実行委員が準備した32メートル分のテープを広げると「あんなところまで!」と驚きの声が。実行委員は「これだけ大きな道路を地価につくれば地下水が分断され、地盤を固めるために汚染される可能性もある」と話しました。
家のポストに入ったビラを見て問題を知ったという大学教員の北見秀治さん(49)は夫婦で参加。「聞けば聞くほど何という無駄な計画なのかと感じる。車の行き来をスムーズにして産業発展させるという時代はもう終わり。今後はどう環境や社会を豊かにしていくかを考えなければ。そのためにもっと福祉や教育に税金を使うべきです」と話しました。
笠井衆院議員は「実際に予定地を歩いてみると緑豊かですばらしい自然があることがわかり、改めて計画を続けさせてはいけないと実感した。地元の方の気持ちを受け止めて新しい政権に計画の見直しを迫っていきたい」と決意を語りました。
<「しんぶん赤旗」2009年9月15日付より>
(写真上・下 実行委員の話を聞く参加者と笠井議員)