政府の目標は国際的に通用しない
日本共産党の笠井亮議員は12日の衆院外務委員会で、政府が発表した2020年までの温室効果ガス排出量削減の中期目標(05年比15%減)について「京都議定書の基準年である1990年比で8%減にすぎない。25~40%削減を求めたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)報告に応えた野心的な目標とは到底いえず、国際的には通用しない」と述べ、根本的見直しを求めました。
日本の中期目標への国際的反応について、外務省の杉山晋輔地球規模課題審議官は「かなり批判的なもの、さらに説明を聞きたいというものなどさまざまある」と、厳しい批判の声が上がっていることを認めました。
政府が基準年を05年にしたことについて、笠井氏は、京都議定書と同様に90年比で中期目標を立てている国は、EU(欧州連合)27カ国など合計33カ国で、それ以外を基準にしているのは、京都議定書を離脱したり、目標は達成できないと宣言したアメリカ、カナダ、オーストラリアの3カ国しかないと指摘。「90年以降も排出量を増やしてきた日本などは、基準年を現在に近づけるほど、見かけ上は高い目標になる。90年を基準年にするのが当然だ」と強調しました。
また笠井氏は、麻生太郎首相が目標達成に際し国民の負担を強調しているが、総排出量の8割を占めるのは産業界だと指摘。「産業界に数字を示して、『これだけは削減する』という確認はとったのか」と追及しました。鎌形浩史内閣参事官は「承知していない」と述べました。
(※6月19日の外務委員会で再質問/後述記事参照)
笠井氏は「日本では財界が後ろ向きで、政府も引きずられている」と批判し、「国際的な交渉の中で、今回の中期目標は変わる可能性があるのか」とただしました。中曽根弘文外相は「最終的にどうまとまるかわからない」と、変わる可能性を否定しませんでした。
笠井氏は「自然エネルギーへの転換などで、日本の歴史的責任として90年比30%削減を高く掲げて対策に取り組むべきだ」と強く求めました。(しんぶん赤旗/2009年6月13日より)
◆審議録(PDF/bt_20090812145504.pdf)
産業界には具体的な削減目標は求めず
笠井議員は、6月19日の衆院外務委員会で、温室効果ガス削減の中期目標の決定にあたって、大量排出元の産業界に具体的削減量を示して了解を得たのか、政府をただしました。これは、12日の同委員会での質疑で政府側からの明確な答弁がなかったため、河野太郎外務委員長が内閣官房に対して、確認の上、理事会に返事するよう求めていたものです。
答弁に立った鎌形浩史内閣参事官が「産業界との会談においては、産業部門の具体的削減量を示していない」と述べたため、笠井氏は「これでどうして産業界に削減の努力を促すことができるか」と批判。先進国の責任にふさわしい野心的な中期目標として1990年比30%減を掲げ、産業界には大胆な削減目標と、それに見合った抜本的な対策を取らせるべきだと主張しました。(しんぶん赤旗/2009年6月25日より)