8カ月で5倍化
2008年7月4日(金)「しんぶん赤旗」より
妊婦健診の費用を5回以上公費で負担している自治体が4月時点で1628市区町村にのぼり、全体の約9割に広がっていることが、厚生労働省の調査で分かりました。昨年8月時点では305市区町村(16・7%)でした。8カ月で5倍以上に広がったことになります。日本共産党の笠井亮衆院議員に、同省が資料を提出しました。
新日本婦人の会をはじめ全国の母親たちの「お金の心配なく安心して子どもを産みたい」という声と運動が、短期間で自治体を動かしました。
五回以上の公費負担を実施している自治体数は、健診回数ごとに助成している千八百市区町村の90・4%に当たります。
助成回数が多いのは、十六回の北海道秩父別(ちっぷべつ)町、長野県木祖(きそ)村、島根県邑南(おおなん)町の三自治体。十四―十五回は八十六市区町村ありました。
一方、助成回数が四回以下の自治体は百七十二市町村ありました。このうち七十市町村では、拡充を予定しています。調査時点で助成が「一回」の自治体は京都市、大阪府吹田市、同寝屋川市、同箕面(みのお)市、同熊取町の五つありましたが、いずれも補正予算を組むなどして、ことし四月以降に三―七回に拡充しています。
新日本婦人の会をはじめ全国の母親たちの「お金の心配なく安心して子どもを産みたい」という声と運動が、短期間で自治体を動かしました。
五回以上の公費負担を実施している自治体数は、健診回数ごとに助成している千八百市区町村の90・4%に当たります。
助成回数が多いのは、十六回の北海道秩父別(ちっぷべつ)町、長野県木祖(きそ)村、島根県邑南(おおなん)町の三自治体。十四―十五回は八十六市区町村ありました。
一方、助成回数が四回以下の自治体は百七十二市町村ありました。このうち七十市町村では、拡充を予定しています。調査時点で助成が「一回」の自治体は京都市、大阪府吹田市、同寝屋川市、同箕面(みのお)市、同熊取町の五つありましたが、いずれも補正予算を組むなどして、ことし四月以降に三―七回に拡充しています。
母の願い 行政動かす
日本共産党の笠井亮衆院議員の話
2月と6月に、国会質問で妊婦健診の公費助成問題を取り上げました。新日本婦人の会のアンケート調査では、妊婦健診を受診しなかった理由のトップが「経済的に大変」で57.3%でした。健診費用総額は平均14万7110円と、大きな負担です。草の根の切実な声と運動が自治体を動かし、助成回数が前進してきたことは、大変重要だと思います。
私の6月の質問で、すべての市区町村で14回の健診を無料にするために必要な経費は、1300億円であることが明らかになりました。予算の使い方を見直せば、十分に手当てできる額です。さらに国の財政支援の強化を求めていきたいと思います。
妊婦健診の公費負担 お産の安全 国の責任で
「とにかく費用が高すぎる。一回五千円は経済的に大変」(埼玉・34歳)、「次の子が欲しいと思い、まず健診費用を積み立てている状況」(宮城・39歳)――。
新日本婦人の会が三―四月に実施したアンケート調査(四十七都道府県の二千二百八十人が回答)には、妊婦健診費用の負担の重さを訴える声が多数寄せられました。
新婦人は全国各地で署名や請願に取り組んできました。そうした母親たちの声、運動と結んだ日本共産党の地方議員の活動が、自治体を動かしました。
昨年八月には、奈良県の妊婦が救急搬送中、受け入れ先の病院がなかなか見つからず死産する事件が起きました。この妊婦が健診を受けておらず、かかりつけ医を持っていなかったことから、健診未受診で出産する、いわゆる「飛び込み出産」の危険性がクローズアップされました。
晩産化や、女性の労働環境が厳しくなっていることなどにより、リスクの高い妊婦が増えていると言われます。子育て世代にも「貧困や格差」が広がり、経済的困難を抱える人が増えています。お産の安全を確保するためには、健診をだれもが安心して受けられるよう、条件を整備することがきわめて重要です。健診費用を公費で負担することは、その大きな一助となります。
一九九七年度までは、市町村に国と都道府県から妊婦健診のための補助金が出ていました。しかし九八年度からは、各市町村が全額地方交付税で行うことになりました。交付税には使い道のしばりがないうえ、この間大幅に減らされています。
厚労省は昨年一月、公費負担は十四回程度が望ましいとする通達を出しましたが、「地方交付税でやれといわれても、交付税の総額が減っており、やりくりが厳しい」などの声が、自治体からもあがっています。健診費用の全面無料化に向けて、国がどう責任を果たすかが問われています。(坂井希)