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【08.01.10】改憲派の巻き返しにストップを

赤旗特集=国民の利益を守って

 
笠井亮衆院議員に聞く
 「戦後レジームからの脱却」「任期中の改憲」を主張した安倍前首相が突然政権を放り出して三カ月あまり。改憲派の巻き返しも見られる中、改憲策動とどうたたかってきたのかを、日本共産党の笠井亮衆院議員(前憲法調査特別委員)に聞きました。
◆安倍改憲路線に共産党はどのように対決してきたのでしょうか
 笠井 昨年末の回顧報道では、安倍前首相の政権投げ出しをめぐり「復古調政権哀れな末路」として、「『美しい国』『戦後レジームからの脱却』は死語と化し(た)」(「東京」十二月二十七日付)といわれるありさまです。二〇〇〇年の憲法調査会設置以来、改憲派が積み上げ、描いてきた当初のスケジュールは挫折を余儀なくされました。
 改憲原案の審査権限を持つ憲法審査会は設置から五カ月たっても始動できず、自衛隊もインド洋から撤退となり、集団的自衛権に関する有識者会議の報告もめどは立ちません。
 日本共産党は戦前から反戦平和を貫いてきた党の存在意義をかけて、安倍首相の改憲戦略に正面から対決してきました。特にその戦略が、アメリカと肩を並べて戦争する国づくりにあると追及しました。
 また、侵略戦争を正当化する「靖国」史観のもと、九条改定を強行することは、アジアはもちろん全世界からの孤立の道だと警告を発してきました。こうした党の主張と、安倍改憲路線を警戒する世論が一体となった感じがします。
◆改憲手続き法が強行されましたが
 笠井 日本共産党は、手続き法案が九条改悪の条件づくりだという根本問題を提起し、手続き整備自体に一貫して反対しました。
 自民党は「新憲法草案」、民主党は「憲法提言」という改憲案を持ちながら、「中立的な手続きだ」と繰り返しましたが、安倍首相の「任期中の改憲」という主張によって欺まんは崩れました。
 また、与党案が最低投票率を設けず、改憲派に有利な広報の仕組みを設けるなど、法案は改憲案を通しやすくするものだと追及しました。所属議員数に応じて広告スペースを割り当てると極端に改憲派に有利になることを私が追及し、与党は賛否平等の割合に修正せざるを得ませんでした。
 また参院で仁比聡平議員が、与党は憲法に明文規定がないとして最低投票率を拒否しているのに、改憲発議に際しては憲法に規定のない両院協議会の規定を置く“矛盾”を追及して、提案者を答弁不能に追い込みました。
 法案は強行されましたが、参院で十八項目の付帯決議が付され、不備だらけの法律であることが明らかとなっています。
◆改憲派は国会の多数を占めているのに行き詰まりですね
 笠井 国会では改憲政党に属する議員が多数でも国民の世論は違います。いまどの世論調査でも、改憲「反対」が多数を占める状況に変わりました。「九条の会」の呼びかけから三年あまりで全国に七千近い地域・分野別「九条の会」が結成され、こうした世論形成に力を発揮しています。
 改憲手続き法案を審議した衆院憲法調査特別委員会で私の席はちょうど傍聴席を背にする位置にあります。五十人の委員会の中で、四十八人が改憲政党所属でしたが、私は傍聴の人びとの熱気を文字通り背中に感じ、孤立感どころか国民多数の声を代弁している思いでした。
 日本共産党の、改憲策動との一貫した対決の足場には、戦前からの反戦平和の歴史と日米軍事同盟に反対し非同盟・中立・平和の日本を目指す綱領路線、戦争のない世界へと向かう世界の構造変化の分析があります。
◆憲法審査会の始動の動きもありますが
 笠井 改憲派の巻き返しです。自民党は民主党に働きかけ、改憲手続き法の強行で崩れた共同関係の修復を図り、改憲原案の審査の体制をつくりたい。
 同時に、明文改憲のスケジュールが狂う中で、自民・民主合作での自衛隊海外派兵の恒久法の整備という立法改憲路線も強まっています。こうした流れにきっぱりストップをかけるためにも、きたるべき総選挙で日本共産党の議席を増やすことがどうしても必要です。(聞き手 中祖寅一)
(2007年1月10日/しんぶん赤旗より)

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