国会から

第171回通常国会

【09.06.11】本会議=憲法審査会規定に反対討論

自公が強行可決 改憲策動新たな段階に

 
 自民・公明の与党は11日の衆院本会議で、改憲原案の審査権限をもつ憲法審査会の規程案の採決を強行し、賛成多数で可決しました。日本共産党、民主党、社民党、国民新党の各党は反対しました。
同規程の制定は、改憲案づくりを含む国会での本格的改憲論議の始動を狙うもので、改憲策動を新たな段階に進めるものです。
 同規程は、憲法審査会委員の定員を50人とすることなどを定めています。与党側は、規程にもとづく委員の選任は、参院での規程制定まで凍結するとしており、審査会の始動は事実上それ以降となります。
 反対討論に立った日本共産党の笠井亮議員は、与党が2年前の改憲手続き法の成立を口実に、同規程を制定しないのは「立法不作為」だなどと繰り返してきたことについて、「審査会規程がないことで国民の権利が侵害された事実はどこにもない。『立法不作為』論はまったく成り立たない」と強調。同手続き法強行成立に続いて再び同規程制定を強行すれば、「憲政史上にさらに大きな汚点を重ねる」と批判しました。
 また、「国会で多数を握っているうちに改憲の条件を整えようとすることは断じて許せない」と指摘。9条改憲を求める世論は、どの世論調査でも少数であることを示し、改憲手続き法こそ廃止すべきだと主張しました。
 自民党の今井宏議員は賛成討論で、「民主党は規程の制定は必要だとしており、鳩山(由紀夫)代表も『議論は始めて結構だ』と発言している」とし、「立法府の不作為と無責任を解消するため」に同規程制定は必要だなどと述べました。
 民主党の園田康博議員は、改憲手続き法を強行した自民党の中山太郎前憲法調査特別委員長を「高い見識で円満な議論をした」と持ち上げる一方、広範な合意なくして規程づくりを強行することを「選挙目当てのパフォーマンス」だと批判しました。(しんぶん赤旗/2009年6月12日より)
笠井議員の反対討論
 なぜ、いま審査会規程づくりか。与党は、「改憲手続法が成立したのに、憲法審査会規程をつくらないのは立法不作為だ」と繰り返します。これは「憲法に改正規定がありながら、手続法がないのは立法不作為だ」という、手続法をつくる際の理屈と同じです。
狙いは9条改憲
 しかし、憲法審査会規程がないことで、国民の権利が侵害された事実はどこにもありません。「立法不作為」論は、全く成り立たないのです。理屈にならない理屈で、再び採決を強行するなど言語道断であることを厳しく指摘します。
 そもそも改憲手続法の狙いは、9条改憲の条件づくりにほかなりません。2005年秋、憲法調査特別委員会で憲法改正国民投票制度についての審議が始まると、自民、民主など手続法をつくろうとする政党が、相次いで憲法9条を中心とする改憲案や改憲構想を発表しました。そのなかで自民党は、憲法9条2項を削除し、自衛軍の保持と集団的自衛権の行使を含む、海外での武力行使を可能とする規定を盛り込んだ改憲案を発表したのです。
 当時の法案提出者が主張した「公正・中立なルールづくり」ではなかったことは明瞭(めいりょう)です。
 改憲手続法は、内容上も不公正で反民主的な法律であります。国の最高法規である憲法の改正は、主権者である国民の意思が最大限にくみつくされることが必要不可欠です。
 ところが、手続法は、どんなに投票率が低くても国民投票が成立し、有権者の2割台、1割台の賛成でも改憲案が通る仕組みとなっているのであります。公務員、教育者の国民投票運動を不当に制限し、改憲案の広報や広告が改憲推進勢力に有利なものであるなど、多岐にわたって重大な問題点をもったまま成立が強行された欠陥法なのであります。
 いま、自民・公明の与党が規程制定を急ぐのは、国民投票法の施行が来年5月に迫るもとで、憲法審査会を一刻も早く始動させ、改憲原案づくりに着手し、国民投票法施行後、いつでも改憲原案を提出できるようにしたいからにほかなりません。総選挙が間近なとき、国会で多数を握っているうちに、改憲の条件を整えようとすることは断じて許せません。
憲政史上に汚点
 2年前の本会議場で、与党が、安倍(晋三)総理の改憲スケジュールに沿って改憲手続法を強行成立させたとき、私は、憲政史上に重大な汚点を残す暴挙であると批判しました。その後、2007年の参議院選挙で、「改憲ノー」の国民の審判をうけ、安倍政権が退陣を余儀なくされたことは記憶に新しいところです。今回、審査会規程の制定を再び強行すれば、憲政史上にさらに大きな汚点を重ねるものであることを厳しく指摘するものです。
 国会における改憲の動きは、1997年の憲法調査委員会設置推進議員連盟の設立以来、憲法調査会、憲法調査特別委員会と12年に及び、改憲勢力の周到な準備のもとに進められてきたかにみえます。しかし、いかに国会で改憲の機運を盛り上げようと狙っても、国民はそれをきっぱりと拒否してきました。国民は、憲法改正を求めてはいません。今日にいたるまで、改憲勢力が主眼とする9条改憲を求める国民の声は、どの世論調査でも一貫して少数であり、多数になったことは一度もないのです。
守り生かすこと
 今日、政治がなすべきことは、貧困と格差を拡大させてきた「構造改革」路線を改め、雇用の確保、社会保障の充実など、憲法25条の生存権が保障される社会をつくることです。オバマ米大統領が「核兵器のない世界」を呼びかけているいまこそ、非核・平和の世界に向けて、9条をもつ被爆国日本ならではの役割を発揮することです。
 憲法を守り生かしていくことこそ時代の要請であり、憲法審査会は始動させず、その根拠法である改憲手続法は廃止すべきであることを強く主張します。