(2012年11月号「前衛」より)

[笠井 亮(党原発・エネルギー問題対策委員会責任者・衆院議員)に聞く]


「即時原発ゼロ」の実現いまこそ

──鮮明になる国民の世論・運動と原発固執勢力の対決の構図 (2)



「即時原発ゼロ」が絶対必要であることが鮮明に

 こうしたもとで日本共産党は、今回の「提言」で、すべての原発からただちに撤退する政治決断をおこない、「即時原発ゼロ」の実現を要求することにしました。私たちが、「即時原発ゼロ」に踏み込んだのは、その絶対的な必要性、理由があるからです。


□二度と原発事故を起こしてはならない

 その一つは、二度と福島原発事故のようなものを起こしてはならないということです。

 今回の「提言」が明確にのべているように、福島第一原発事故は「収束」どころか、その被害は拡大し、先の見えない苦しみのもとに多くの被災者の方々はおかれています。現に福島県では、一年半以上たったいまも県内外への避難者は一六万人にのぼり、避難先で命を落とす人も少なくありません。放射能による被害は、東日本を中心に全国に広がっており、農林漁業や観光業など、あらゆる産業・経済への深刻な打撃も続いています。

 原発事故で、放射性物質がひとたび大量に放出されると、被害は空間的にも、時間的にも、社会的にも限定なしに広がり続けます。人類は、それを防止する手段を持っていません。他の事故とも違う「異質の危険」の猛威を文字通り体験した一年半余でした。

 しかも、原発事故は、「これが最悪」という上限さえ想定できないことも眼前で明らかになりました。今回の福島原発事故で大気中に放出された「死の灰」は総量の一割程度、放射性ヨウ素やセシウムは一〜二%程度といわれています。もっと大量に放出される事故が起こることもあり得ますが、そのときにどれくらいの被害出るか、想定自体が不可能です。

 二度と原発の大事故をおこしてはならない。だからこそ「即時原発ゼロ」が必要です。


□原発を稼働する限り、「核のゴミ」が増え続ける

 もう一つは、原発を稼働させればさせるほど、処理する方法のない使用済み核燃料=「核のゴミ」が増え続けるということです。

 もともと、使用済み核燃料を安全に処理する方法を確立するからと原発を始めたのですが、そんな技術はありません。使用済み核燃料は、長期間、放射線と熱を出し続けるため冷却し続けなければならず、その後も放射線から厳重に防護しなければなりません。原料として使ったウラン鉱石の放射能レベルに下がるまでに数万年、無害といえる程度までには、さらに膨大な時間がかかります。

 これまでに日本の原発からつくりだされた使用済み核燃料は、二万四〇〇〇トンにものぼっています。すでに原発の使用済み燃料プールに貯蔵されている状況をみると、福島第一が九三%、東海第二が八四%、福島第二が八二%、柏崎刈羽が七九%、玄海が七八%など、全体で約七割が埋まってしまっています(電事連資料、二〇一一年九月末現在)。

 一〇〇万キロワットの原発一基を一年間稼働すると、使用済み核燃料は、二一トンも出てくるわけで、いまある原発の約六割、三三基が稼働すれば、数年間で満杯になるという切羽詰まった状況です。青森県の六ヶ所再処理工場のプールも、使用済み核燃料の貯蔵量がふえて、すでに九七%以上という満杯状態です。

 今回の「提言」が指摘しているように、歴代政府が、その「対策」としてきた核燃料サイクル計画は、完全に破たんしています。再処理した核燃料を使うはずの「もんじゅ」はトラブル続きで完成の見込みもありません。世界でも、アメリカ、イギリスなど各国が核燃料サイクル計画から撤退しています。  使用済み核燃料を置いておくところもなければ、安定的に保管する技術も、場所もなければ、再処理する技術も持ち得ていないのです。人類に半永久的に被害をあたえることになるにもかかわらず、原発稼働を続け、処理する方法のない「核のゴミ」を増やし続けようとする日本の電力会社、財界、政府の態度は断じて許されません。

 これ以上、この危険な遺産を増やし続け、将来の世代に押しつけ続けてはならない。そのためにとるべき唯一の方法は、「即時原発ゼロ」を実現する以外にありません。


□すべての原発からただちに撤退する政治決断を  

 しかも、昨年来、国政上の大問題になった原発の再稼働をめぐっても、福島事故の原因究明もできず、政府自身が決めた「当面の安全対策」も実施されないまま、住民避難の体制も計画もなく、どうして再稼働できるのか。政府と電力業界は、「電力不足」で国民を脅したが、関西電力管内も含めて、全国どこでも「原発なしで猛暑を乗り切ったではないか」。これらのことも国民の共通認識になりました。そして、国民世論が大きく変化し、「原発ゼロ」をめざす声が多数となっているもとで、国民の願いにこたえるのが政治の最大の使命であり、ただちに「原発ゼロの日本」を実現することこそが政治の責任です。

 日本共産党は、昨年六月の「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格的導入を──国民的討論と合意をよびかけます」(原発撤退提言)で、「『原発ゼロの日本』をめざす政治決断」を求め、「原発からの撤退をどのくらいの期間でおこなうのか、日本のエネルギーをどうするのかについては、国民的討論を踏まえて決定されるべき」だが、日本共産党としては、「五〜一〇年以内を目標に原発から撤退するプログラムを政府が策定する」よう提案しました。それから一年三カ月たった時点で、昨年の提起を一歩さらにすすめ、「即時原発ゼロ」を提起することにし、今回の「提言」でつぎのように政府に要求しています。

 ──すべての原発からただちに撤退する政治決断をおこない、「即時原発ゼロ」の実現をはかること。

 ──原発再稼働方針を撤回し、大飯原発を停止させ、すべての原発を停止させたままで、廃炉のプロセスに入ること。

 ──青森県六ヶ所村の「再処理施設」を閉鎖し、プルトニウム循環方式から即時撤退すること。

 ──原発の輸出政策を中止し、輸出を禁止すること。